物流コンペ復活の兆し!本物3PLを見極める時が来た
2018年度の第一四半期は、物流業界にとって低調な滑り出しとなっているようです。
3月、4月は引っ越し需要に引っ張られ、幹線輸送を担う中長距離輸送のトラックと、4トンゲート車が著しく不足する時もありましたが、5月の連休を過ぎた頃から荷動きは鈍化し、ドライバー不足の時代にも関わらず空車が目立ってきました。
ただしこの状況は一時的なもので、9月以降はまたトラック不足に悩まされる日々が予想されます。
昨年の第二四半期(7月8月9月)頃から、物流コンペの動きがピタリと止まりました。
当社は例年10数件の物流コンペ支援を行っていますが、この1年間は激減です。
その理由は、
(1)既存の契約水準を維持出来ない可能性がある
(2)出荷拠点が変わることで路線便との折り合いが付かない可能性がある
(3)新センターでは、スタッフの確保が出来ない可能性がある
と概ねこの3点の理由により、荷主企業の心理はとてもネガティブな状況でした。
我々コンサルタントも同様に「もしコンペをやって失敗したらどうしよう」と、後ろ向きの思考でコンペを進めても、良い結果は得れるはずがありません。
そんなネガティブな荷主と後ろ向きなコンサルタントとが話し合って出した結論は「様子見」でした。
契約更新1.5年前ぐらいから、物流コンペの準備に入るわけですが、昨年は様子見と判断されたため、とりあえず1年更新という回避策で委託先との契約を先送りにした案件も少なくはありません。
しかし、今物流業界において新しい風が吹き始めました!
これは、俗にいう時流転換です。
今、物流業界に何が起きていると思いますか?
転換ポイントは以下5点です。
(1)上場物流会社が荷量確保の動きに出始めた(売上成長を株主に求められる)
(2)物流不動産ファンドの新築物件が飽和状態となっている(増床100万坪)
(3)ドライバー採用が順調に進み、増員増車をしているトラック会社が台頭する
(4)マテハンの高度化及び量産化により物流センターの省人力化が可能となった
(5)社会的な働き方改革によって、既存の物流フレームに歪みが出てきた
これらの環境変化により、このタイミングで「物流コンペをやるべき論」が導かれています。
ただし、これまでの物流コンペのやり方では多分…失敗する懸念は拭えません。
上記転換ポイントをしっかりと理解し、時流を捉えた委託先(3PL)を見つけることが物流コンペ成否の重要な鍵となります。
昨年筆者は、物流会社を荷主が選ぶ時代から選ばれる時代に変わりましたと、お伝えしました。
しかし、たった1年で再び荷主が“3PLを選ぶ時代”へと戻りつつあります。
次に5つの転換ポイントについて少し深堀した内容をお伝えします。
宅配のラストワンマイル市場において、ヤマト運輸・佐川急便・日本郵便に次ぐ「第四極」が芽生え始めています。
現在注目すべき新勢力は、
(1)アマゾンジャパンが構築する専用便
(2)家電量販店・家具量販店が手掛ける専用便
(3)地域限定の宅配ネットワーク
いずれも軽四輪車を利用した小口配送特化サービスです。
現時点では、東名阪地区の主要都市を対象エリアとした限定サービスですが、今後は大手陸運や有力地場運送会社などが、追従すると思います。
宅配のラストワンマイルにおけるバリューチェーンは以下の通りとなります。
(1)営業活動
(2)集荷
(3)幹線輸送
(4)配送
(5)再配達サービス
これら(1)~(5)のプロセスは、大手宅配会社のバリューチェーンと基本的には同じですが、大手宅配事業者にあって第四極にないものが、ひとつだけあります。
それは「高度な情報システム」です。
顧客管理や再配達無人受付システムなどは、構築するために莫大な投資を必要とします。
しかし、極度なトラックドライバー不足とネット通販の拡大基調においては、高度な情報システムが無くても、宅配の担い手として市場と社会が求めています。今後どこの勢力が勝ち残るか楽しみですね。
そして、物流費値上がりトレンドのこの時期に、どうすれば物流コンペを成功させることができるのでしょうか?
物流コンペを失敗させないコツは、いくつか想定されます。
第一に、荷主の物流状況を全て正しく開示すること。
第二に、正しい物流コンペを実行すること。
第三に、取引スキームを正しく理解してから契約すること。
第三の取引スキームを正しく理解するとは、「本物3PL事業者」を見極めることです。
荷主と物流事業者の取引関係は、利益が相反せざるを得ない関係です。
荷主の要望であるコストダウンは物流事業者にとっての売上ダウン・利益ダウンとなります。
この両者の関係を正しく理解したうえで、自社の戦略に合致した物流パートナー選びこそが、失敗しないアウトソーシングの最適解となります。
時流変換のポイントである以下5項目を十分に理解したうえで、物流会社との取引関係を構築していただければ、きっと良好なパートナーとなることでしょう。
(1)上場物流会社が荷量確保の動きに出始めた(売上成長を株主に求められる)
(2)物流不動産ファンドの新築物件が飽和状態となっている(増床100万坪)
(3)ドライバー採用が順調に進み、増員増車をしているトラック会社が台頭する
(4)マテハンの高度化及び量産化により物流センターの省人力化が可能となった
(5)社会的な働き方改革によって、既存の物流フレームに歪みが出てきた


