第94回 物流業界におけるコンプライアンス・コスト(4)
【労務管理コスト】
コンプライアンスを強化する上で、「労務管理」は最も重視する課題となります。
荷主企業の物流に関しては、既に輸配送・倉庫内作業などが物流事業会社へアウトソーシングされ自社で管理すべき労務は最小化されています。
しかし、自社であってもアウトソーシング先であっても、コンプライアンンスを徹底する事に変わりはなく、そこには当然の事ながらコストが発生します。
直接的な管理業務は、アウトソーシングを請け負った企業が行うものですが、そこで発生する費用は料金として荷主企業が負担することになります。
今現在、労務管理における負担が無いとすると、それはとても危険な状態であり、物流現場の労務管理が成されていないと受け止めるべきでしょう。
主な管理内容として以下の3項目が
<1>従業員との雇用契約についての適正化及び管理者の人件費
<2>出勤日数や残業時間の適正化及び管理者の人件費
<3>ドライバーの連続運転や運行管理における管理者の人件費
これら3項目は何れも「労務管理」を行う上で発生する管理者人件費となります。
物流における現行のアウトソーシング費用(コスト)は、提供された労働対価に対して発生しており、直接的なコスドだけが着目され効率や生産性といった観点を追求するあまり、請負企業側でも無理な労働提供が発生している可能性があります。
委託先のパートタイマーや配送ドライバーであっても、一定の条件を満たすと社会保険に関わる企業負担が発生するのは至極当然の事であります。
この費用は、人材派遣であっても業務請負であっても契約の内容に関わらず労働対価に付加されるものであり、アウトソーシングをしているから荷主企業には無関係では、コンプラインスは遵守されません。
今後の物流は、コンプライアンス上の「労務管理」を徹底した企業との取組みが適正であり、ローコストのみを追求したアウトソーシング先選択は、根底から考え直す必要があります。
安全や安心を含めたアウトソーソングには、それを管理するコストが掛かる事を再認識し、品質・コストと並んでコンプライアンスへの取組みも重要な選定基準となります。