第76回 物流アウトソーシングの再考(1)
物流アウトソーシングにおいてのメリットは様々な視点から見る事が可能です。
コアコンピタンスではないと判断された物流オペレーションや物流管理業務は、今や情報システム部門と並んでアウトソーシングの代表ともされています。
なぜ、物流オペレーションがアウトソーシングされているのでしょうか?
多くの企業はその活動において、物流アウトソーシングをした方がメリット があると経営判断されたからだと推測されます。
想定される物流アウトソーシングのメリット
(1)アウトソーサーのほうがコストが低い
(2)アウトソーサーのほうが設備投資効率(稼働率)が高い
(3)アウトサーサーのほうが人的資源の生産性が高い
(4)品質向上が見込まれる
(5)リスクヘッジを担っている
主に上げられるメリットは上記5項目に集約されます。
しかし、どの項目も アウトソーサーが自社物流よりも、品質・コストともに秀でている場合に 達成される見込み到達点でもあります。
物流オペレーションは無形サービスでありますので、その商品(サービス)を 購入する前には、優劣の判断はとても難しいものでもあります。
購入時に判断できるのは、当面の契約で締結されるコストのみであり、その中身(サービスの質)については、利用後に初めて判断する事が出来ます。
契約料金に関しても、アウトソーサーが見込み違いで受注をしているようだと とたんに、料金改定の要求があり得ます。
このアウトソーサーからの要求に対して、仕事を提供した荷主側には何ら落ち度が無くても、現実問題としての脅威があるわけです。
アウトソーシングを実行する前までは、荷主企業にとても優位な形で交渉毎が進みますが、一旦アウトソーシングが始まってしまうと、実際の交渉優位な立場は逆転している事に気づいていない荷主企業が多く見られます。
特に、一括アウトソーシングや、特殊な専門分野ではそのサービスの代替が 即時できないものが多い事も特徴です。
参入障壁の高いアウトソーシングほど、変更や切り替えが困難である事に逆転の問題が生じることとなります。
本質的なリスクヘッジを行うには、信頼のおけるアウトソーサーへ委託する と同時に、そのアウトソーサーにメリットのある事なのかも荷主として検証 しておく必要があります。