第55回 物流子会社の彷徨(5)

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

前号でお伝えしました、外販獲得が裏目に出てしまったその理由とは 以下の5項目が考えられます。

(1)大競争時代であった
(2)多くの同業(物流子会社)も同じ戦略を取っていた
(3)3PLの幕開け時代であった
(4)地場有力物流業が力強く伸びていた
(5)大手物流業(運輸・倉庫)との差別化が必要であった  

これら、5項目は何れも同時代に競争をしていた物流業が経験した ものであり、他社を抜きん出て(獲得=受注)をする事は極めて困難な 背景であったものです。

強い親会社及び経営陣のプレッシャーの中で、売上を拡大していくには 他社との「差別化」を明確にしなければならず、その「差別化」は低料金 へと流されていきました。

荷主企業の求める物流を提供する上で、品質面や機能面での「差別化」を 図る事が結果として出来ずに、容易な比較対象として「コストダウン」を 前面にした営業体制が、受注数と収益率のバランスを壊してしまったのです。

本来は親会社の物流費を、外販獲得した「取扱量」によって社内合理化や 相乗効果を進めてコストを下げる目的でありました。

それが、大競争時代に おける新規受注により、赤字現象を引き起こしてしまいました。

結果として、新規受注した赤字を親会社から出た利益で埋める逆ザヤ現象 となった訳です。

親会社だけの物流業務であれば、残った利益は配当なり値引きなりの 還元が可能でありましたが、拡大による利益率の低下や、還元率の減少は まさに、本末転倒でありました。

もちろん、利益化し親会社のコストダウンへ貢献した企業も少なくは ありません。

しかし、多くの外販戦略を打ち出して実行した物流子会社は 新規受注の赤字スパイラルに陥ったわけです。

では、何故「赤字受注」が連続して起きてしまったかを次号で検証して みます。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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