第52回 物流子会社の彷徨(2)
前号から続いて、物流子会社の意義について考察してみます。
物流子会社の主な売却理由は、以下3点
(1)業務上のシナジー(相乗効果)が現れなくなった
(2)親会社及び物流子会社の業績不振や低迷によるもの
(3)グループ再編の一環によるもの
親会社(もしくは持ち株会社)は、物流子会社にとっての荷主企業となります。
また、物流子会社の株主でもあります。
その荷主企業の業績が不振の場合は、物流子会社に限らず全ての子会社は換金可能な資産(株式)と判断して、売却を考えます。
また、物流子会社以外の物流企業から、コスト面での大きな削減提案が出されると、いつまでも高コストな物流子会社への出荷継続は、再考せざるを得ません。
親の物流を、最も安く最も高品質なサービスが提供できる物流子会社はその意義が明確となりますが、高品質だけに偏ったサービス提供では、従来の親子間パイプは通用しずらくなってきました。
物流子会社だからとの理由で、親の全ての物流業務を委託する習慣は減少しつつあります。
特に、コスト面においては同業の一般物流企業とは販売管理費面で大きなハンデを背負っています。
親会社の賃金体系を基本とした物流子会社では、一般物流企業より高コストとなり、価格競争において優位には無い状況です。
親会社の商品特性や取扱要領を熟知した品質面での優位さはありますが、輸配送や入出荷作業・流通加工などのオペレーションを事業として行っている会社と、作業や輸配送は外部へ委託し、主に管理面だけを行っている物流子会社には大きな違いがあります。
とくに、後者は3PL事業者の台頭によりその地位が失われつつあるのでは、ないでしょうか?
実業系の物流子会社は、コストとの戦い。管理系物流子会社は、品質とコストの両面が是正を求められてきます。
そして窮地に立たされた物流子会社は、1990年代より『外販獲得』が至上命令となり、物流子会社のキーワードとして、流行語となりました。
この『外販獲得』こそが、業界に大きなインパクトを与え、物流子会社メカニズムの崩壊と現在の業界再編の狼煙と成ってしまいました。
次号は、「外販獲得がもたらした、業界変貌」をお送りします。