第51回 物流子会社の彷徨(1)

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

ここ数年、物流子会社の存続価値について物議を醸している。

大会社にとって物流子会社の存在価値は高く、日本の大手メーカーにはその業種にかかわらず、物流子会社が調達物流・社内物流・製品物流を担い日本経済の発展に寄与してきました。

その物流子会社にとって、親会社の意識が変化し最大の転換期を向かえています。

例えば、電鉄系ではその多くが他資本へ売却されています。

近鉄グループの近鉄物流、東急グループの東急エアカーゴ及び東急ロジスティックなど、業界中堅企業でもその例外ではありあせん。

その他電鉄系物流子会社では、名鉄運輸・西武運輸と言った一部の特積会社(路線会社)と阪急交通社(旅行部門あり)・近鉄エクスプレスなどの国際フォアーダー系の企業などがあります。

では、なぜ電鉄会社はこれまでグループ企業としてその一翼を担ってきた物流子会社を手放すのでしょうか?

子会社の売却においては、親会社の状況変化や経営戦略上の判断によるものが大半であり、経営効率の追求や業務シナジーの効果などがその理由として挙げられる。

では、電鉄系の物流子会社が売却される理由を考察すると、

(1)業務上のシナジー(相乗効果)が現れなくなった。
(2)親会社の業績不振や、子会社の業績低迷によるもの。
(3)グループ再編の一環によるもの。

と、上記3点が主な理由として考えられます。

これら3点は、何も電鉄系の物流子会社のみの課題ではなく、多くのメーカー系物流子会社にも該当する事柄と推察せざるをえないものです。

更に、物流子会社をM&Aにより取得し自社の成長戦略の一翼とするべく積極的に活動している企業の存在も、ひとつのきっかけとして見逃せないものです。

M&Aによる業界再編は、今最も物流業界におけるホットな話題であり、業界外の投資家(海外を含む)や金融・投資銀行からも着目されています。

では、次号では少し具体的に物流子会社の意義について考察してみます。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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