第37回 偽装請負その2

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

前号で、物流にまつわる偽装請負について書きましたが、大変多くの方からお問い合わせのメールを頂きましたので、もう少し詳細に触れてみます。

民法632条(請負)
請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うこをを約することによってその効力を生ずる。

とあります。

仕事の完了を約して対価を支払うべき契約となりますので時間や人数に対しての料金設定は、偽装となります。

当然の事ながら、タイムカードや残業もしくは、休日出金割り増しなどは注文者(荷主や元請企業)が管理するものではありません。

会計の処理も労務費とはなりませんので、請負契約の料金を労務費や人件費などで計上している企業も要注意です。

また、その仕事で利用する設備・機械・機材・材料・資材等も請負業者の調達するものであり、注文者が無償提供するケースも偽装と見なされる事があるようです。

それらの備品や資材類は請負業者が調達・管理・監督の上業務を処理する事が肝要です。

作業スペースに関して言えば、責任区分が明確となるような線引きや別管理が可能な構造(別棟・間仕切り・区画)でなければなりません。

物流現場では、特に以下の点に注意が必要となります。

(1)荷主の所有するリフトを請負業者が使っている(無償提供の場合)
(2)所属が混合されている事務所(荷主と請負業者)
(3)所属が混合されている作業場(倉庫・物流センターなど)
(4)カゴ車や台車などの備品
(5)事務備品(電話やファクシミリ、コピー機など)

社会全体として、コンプライアンスが重視する傾向で偽装請負パターンは当然改善するべきものであります。自社の物流管理範囲においてのチェックは早急に行いましょう。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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