第302回 日本型3PL「期待していいこと、出来ないこと」(7)
今年はトラック業界が大変革しそうです。
通販市場の成長による宅配便問題や、残業60時間上限施策による働き方改革ど、荷主企業にとって看過できない大転換期となります。
上記のいずれもが人手不足が起因した課題であり、解決の糸口は見えていません。
輸送事業者の取るべき対策は以下5点。
1.料金改定
2.取引先の再選定
3.業務の効率化
4.自動化推進
5.経営大改革
荷主企業はこれらの時流を見誤ることなく、適格に対応を実施する必要に迫られています。
国内物流に関していえば、新しく中期計画を立て直すべきでしょう。
輸送費アップは不可避であり、いくら上がるかがポイントではなく、大改革を行って総額を上げない施策を打つことが重要です。
まだまだ無駄の多い物流周り。
物流費は単価が上がることを前提に全てのコストを総点検するべきです。
今回は荷主と3PLとの間で発生した保管にまつわるトラブル事例をお伝えします。
まず保管面積の設定方法にはいくつかのやり方があります。
1.Max在庫量(一年の中で最大在庫となる数値)
2.Min在庫量(一年の中で最小在庫となる数値)
3.Ave在庫量(一年の中で平均在庫となる数値)
上記1〜3のどの在庫数値を基本に保管面積を算出するかが重要となります。
保管面積にかかわるトラブルは、概ね坪契約による事例が多いようです。
荷主企業から事前に渡された物流データの中で、在庫数のみで床面積を試算することで誤った面積が抽出され、在庫移管後に問題が発覚します。
問題の多くは、保管場所が足りずに外部倉庫を活用しないとならないケースです。
この場合、別途外部倉庫との往復運賃や入出荷費用が発生します。
荷主からすると「事前にデータを渡しているのだから、そちらのミスによって発生する追加コストは見れません!」と当然言いますね。
3PLの言い分は「当社が分析した荷量だったら問題ないが、今は違っている。
実際に現場を見て入らないので、必要な費用は払って下さい!」と言う。
どちらの言い分が正しいかはさておき、保管面積にまつわるトラブル事例には共通して言えることがあります。
それは、双方が責任に対して数値で合意ができていないことによります。
3PLが自社倉庫で多少なりともスペースに余裕があれば、そんなに大きな問題にはなりませんが、ファンドなどの外部倉庫で運用をしている場合は、契約面積以上の増床はほぼ無理だと思ってください。
日本型3PLサービスにおいて、この点はあいまいでいいことかもしれません。
ただ、保管料契約が3期制であっても坪契約であっても、双方の責任区分を明確にしておかない限り、このトラブルは途絶えることがありません。
解決策は物流SLA(サービス・レベル・アグリーメント)です。
3PLとの契約において、最も重要なことはSALをしっかり締結することです。
SLAなくして3PLの活用はあり得ません。
⇒次号に続く
※3PL(Third Party Logistics)の概念は以下をご覧ください。