第293回 東京オリンピック・パラリンピックと物流(2)〜国土交通省の取り組みを知る〜
いよいよ2016年リオ五輪が開催されました。
日本選手の活躍と大会が無事に閉幕することを祈念したいと思います。
オリンピックへ出場できる選手は、長い長い期間を努力と鍛錬と我慢を
積み重ね、更に選考会を突破したツキを兼ね備えた人材です。
メダルを獲得するか否かは時の運。
いくつもの試練を乗り越えた強靭な胆力と精神力は、我々ビジネスマンも見倣うべきところであり、貴重なベンチマーク像となります。
2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催まで、あと4年となりました。
今回のテーマは、東京オリンピック・パラリンピック開催に関わる物流への影響をテーマに考察します。
国土交通省が発表している”2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた国土交通省の取組”を参考に物流業界への影響を考えてみることにしました。
1.輸送
・首都圏空港の機能強化
羽田空港の発着数を現状の3.9万回/年から2020年迄には8万回へ増枠する計画があるようです。
これによる物流面の影響は、以下5つのことが想定されます。
(1)羽田空港を基点とした発着導線(首都高上下線)の混雑
(2)成田空港から羽田空港への航空便輸送の大転換
(3)新共同配送サービスの台頭
(4)越境ECの高速化
(5)羽田地区周辺倉庫の相場上昇
羽田空港の場合、以前の成田空港にあった原木地区のような中継TC拠点は必要なく、ダイレクトに首都圏へアクセスできる高い利便性があります。
また羽田空港へそれぞれの持込・引き取りトラックが出入りしたのでは、空港発着バースの混雑は避けられないため、必然的に共同配送システムが構築されるものと思われます。
2.バリアフリー化
様々な施設においてバリアフリーが実現できれば、これまで難易度の高かったトラックドライバーへ、車椅子の方が従事可能となります。
ロボティクス機能が強化された車椅子を活用し、AGV(無人搬送車)と連結することで、カゴ車や専用パレットを搬送することが実現します。
AI(人工知能)機能が強化されたトラックは、機能的には無人化を実現可能としたスペックがありますので、運転補助レベルは容易なものと想像されます。
既に高度化されたICTを広範的に活用することで、道路知識に未熟な方や将来規制が緩和されることが想定されるゲストワーカーなどの従事者にも活躍の場が創出されます。
次号に続く…