第283回 2016年は“丙申(ひのえさる)”の年(1)
新年明けましておめでとうございます。
船井総研ロジの赤峰です。
旧年中のご厚情に感謝し、本年も皆さまのお役に立てる情報発信に一層努めてまいります。
何卒よろしくお願い申し上げます。
今年の干支は“丙申(ひのえさる)”。
これまで培ってきた事柄が芽生えて形を成し始める意味があるそうです。
私のイメージでは“磨穿鉄硯(ませんてっけん)”。
企業の場合は、新規事業・投資案件・組織改革などが始動する年。
個人の場合は、スキル・学習・人脈などが花開く展開。
それぞれの仕込みが完熟する一歩手前といった感じでしょうか。
いずれにしても、日々の精進・努力が実り始める訳ですから、良い一年となりそうです。
さて、2016年の日本経済はどうなるのでしょうか?
新聞紙上から読み解いた財界の方々のご意見は以下の通りです。
・アベノミクスは成長戦略の実効段階を向かえた
・生活消費材など内需関連の成長と個人消費の回復期待
・原油価格の底値安定期
・米国経済の好景気牽引における恩恵
・賃上げ、税制改革による可処分所得の増大
・中国経済減速による影響懸念
・女性の社会枠拡大、浸透
この7つの日本経済キーワードから、物流業界に及ぼす影響を考察してみます。
税制改革や賃上げによって、個人消費は今年に比べ成長の期待が持てます。
個人消費の向け先は、生活を支えるうえで必要な生活関連品。
リアル店舗での購買よりも、ネットを媒体としたEC市場の増大が見込まれます。
EC市場の拡大によりネット通販物流は大隆盛時代を迎えることになります。
通販物流と言えば、不動産ファンドが展開する大型マルチ倉庫。
今年も多くの新規物件が竣工・着工します。
マザーセンター型の大規模物流センター化は、EC市場の拡大により、もう数年は続きそうな気配です。
一昨年から大きく取り上げられているドライバー不足問題。
こちの解決策は未だ不透明なまま。
近い将来の自動運転時代に至るまで、果たして運輸インフラは持ちこたえるのか?
今年もドライバー確保はトラック事業者の肝となりそうです。
原油価格の底値安定により、運賃相場は下落予想。
荷主企業にとっては千載一隅のチャンス。
来年の消費増税を過去の経験から鑑みると、車輛不足は必定。
今年は思いきった物流コスト見直しの好機だと皆が考えるのは無理の無いストーリーですね。
ドライバー不足による値上げプレッシャー VS 原油価格下落による値下げプレッシャー。
荷主と物流企業の駆け引きは、既に始まっています。
またしも大競争時代へ突入するものと推測されます。
一方で、物流業界における女性大躍進の元年とも予測されます。
数年前からダイバーシティ化が唱えられていますが、現実的な施策は女性登用。
女性が活躍できる職場環境の整備こそが、生き残りをかけた近代経営戦略です。
物流業界でも、ドライバー・リフト操縦士・現場管理者・企画・営業・IT職など、いくらでも女性が活躍できる業務領域はあります。
仕事を作るか作らないか、女性社員をどれだけ自社の事業へ溶け込ませる事が出来るかによって、外部からの評価と新しい企業文化の醸成へと繋がります。
■荷主企業のキーワードは
「料金適正化」 「物流戦略再構築」 「評価基準策定」の3つです。
■物流企業のキーワードは
「人」 「独自性の発揮」 「本物3PL」の3つです。
次号からはこれらのキーワードをひとつづ考察していくことにします。
本年もどうぞよろしくお願いします。