第274回 変貌する物流戦略20
「市場価格と適正価格」(3)
日中と夜間で寒暖の差があり、体調管理は気を抜けない今日この頃です。
GW後は低調な荷動きが推移しているようで、物流会社さんの営業活動は活発です。
一般ビジネス紙(週間東洋経済6/6号:物流大激突)に物流特集があったりと、物流に対する着目度合いは高まっています。
ただし注目されるのは、ラストワンマイルに関わる競争事情であり、主役はコンビニ・ネット通販・大手量販などの非物流事業者のようです。
これまでのBtoC輸送における3大主軸(ヤマト運輸・佐川急便・日本郵便)に代わる、新しい宅配ビジネスモデルは、まさにパラダイムシフトですね。
イノベーションは市場の拡大と新規参入が同時進行しますので、次のステージが楽しみな展開です。
また、新規参入者が市場を席巻することで、そのサービスの「市場価格」も変化していきます。
既存物流事業者と流通小売事業者のラストワンマイル大競争は見逃せません。
今号は前回に引き続いて「輸配送費」における市場価格を考察します。
まずは輸配送費をコスト管理上の区分で分類します。
1.チャーター便、ルート便など一般貨物輸送
2.路線便、宅配便などの特別積み合わせ輸送
3.海上、航空輸送
4.その他
1.チャーター便、ルート便など一般貨物輸送
この輸送モードは、国内製品輸送において最も量的シェアが高く、運賃
コストの中心的な存在です。
A地点からB地点へのチャーター便(貸切)は、概ね市場価格が収斂(しゅうれん)されています。
近距離輸送と中長距離輸送では、市場価格における中心値からの上下幅の大きさ(分散)・バラツキ具合に違いがあります。
分散要因は、シーズン波動と荷動き量が影響しています。
また、往路便か復路便(帰り便)かの要素も関係があります。
例えば、東京発の大阪向け10トン車ウィングのチャーター料金は、62,000円から90,000円が市場価格となっています(当社推計)。
下限は復路便の最安値ゾーンであり、上限は往路便の上限値となります。
どのように市場価格を知り得るのかと言うと、現実的な見積金額を数多く入手することです。
あえて現実的と言っているのは、2013年以降、市場価格は大きく変動しているからです。
トレンドは上昇基調ですが、急降下もあり得ます。
我々コンサルタントは、輸送毎の原価をかなり緻密に分析したうえで、入手した実勢運賃と比べながらコスト上の中央値と実勢運賃の中央値を算出します。
自社の契約運賃が市場価格における適正範囲か否かの判定は、物件費や荷役費と比べるとやや難易度が高いかもしれません。
次号に続く。