第269回 変貌する物流戦略その15
「荷主企業の取るべき施策」(9)
「上がった運賃は原油価格下落にともなって下げることができましたか?」
原油価格相場は、2014年12月価格と比較して約10ドル/バレルの価格上昇が見られます。
このまま価格上昇トレンドとなるのかは、予測し難い状況ですが、原油価格の変動と運賃単価は密接に相関しています。
固定制運賃or変動制運賃、貴社はどの方式なのかもちろん決めていることでしょうね!?
荷主企業における物流オペレーション部門に求められる知識とスキルは、以下7項目です。
1.現場遂行力(オペレーション力)
2.スタッフマネジメント力(募集、採用、教育など)
3.倉庫ロケーション設計力
4.倉庫情報システム(WMS)理解力
5.輸配送マネジメント力
6.改善力
7.生産性分析力
今号は改善力の中で、3PLへ物流業務のアウトソーシングを実行しているケースについて考察します。
自社物流の場合と同様に、下記の1〜8のステップを進めることとなりますが、
アウトソーシング=業務委託契約となりますので、原則的には委託されている業務領域に関しては、アウトソーサーとの話し合いにより、改善実行が進められます。
1.現状物流の可視化(定量分析)
※アウトソーシング領域に関しては、可視化は話し合いによる場合が多い。
全ての情報が可視化されるとは限らない。
2.課題の抽出(定性分析)
3.情報システム分析(IT分析)
※WMSをどちらが保有しているかによって、大きく ITの責任領域が変わる。
4.現状分析(定量・定性の両面から見えた現状物流のまとめ)
5.物流改善案の策定(コスト削減ターゲット、サービスレベル基準など)
6.業務プロセスの見直し
※自社業務が中心となる
7.アクションプランの策定
※自社と委託先、それぞれが別管理となる
8.改善実行
※自社と委託先、それぞれが別行動となる
これら8項目のプロセスの中で特に重要な工程が、最初に行う現状分析フェーズ1〜4です。
自社物流であってもアウトソーシングであっても、現状分析を精緻なレベルで実行することが肝要です。
自社の物流全体像について的確に把握し、アウトソーサーとの業際を明確にする必要があります。
業務プロセスのインターフェイスが曖昧なままだと、責任区分も不明確な取引となってしまいます。
物流アウトソーシングを実行している荷主企業は、委託する領域を明確にすることです。
本来は、契約当初からSLAを基にKPIを設定しておくとその後の管理が容易となります。
・・・次回は、3PLへ物流業務のアウトソーシングを実行しているケースでの改善失敗事例をお伝えします。