第268回 変貌する物流戦略その14
「荷主企業の取るべき施策」(8)
荷主企業における物流オペレーション部門に求められる知識とスキルは、以下7項目です。
1.現場遂行力(オペレーション力)
2.スタッフマネジメント力(募集、採用、教育など)
3.倉庫ロケーション設計力
4.倉庫情報システム(WMS)理解力
5.輸配送マネジメント力
6.改善力
7.生産性分析力
今号は、6.改善力について考察致します。
6.改善力
(1)自社オペレーションにおける物流改善
物流改善には二通りの手法があります。
ひとつめは物流オペレーション(現場運営)を自社で運営しているケースです。
自社物流における物流改善は、以下の手順で進めていきます。
1.現状物流の可視化(定量分析)
2.課題の抽出(定性分析)
3.情報システム分析(IT分析)
4.現状分析(定量・定性の両面から見えた現状物流のまとめ)
5.物流改善案の策定(コスト削減ターゲット、サービスレベル基準など
6.業務プロセスの見直し
7.アクションプランの策定
8.改善実行
これら8項目のプロセスの中で特に重要な工程が、最初に行う現状分析フェーズ1〜4です。
自社の物流全体像について、的確に現状を知ることが全ての始まりとなります。
経営者視点・営業(販売)部門視点・調達購買部門視点のみならず、顧客や取引先に至るサプライチェーン上の全てに対してヒアリングやインタビューを実施し、課題や問題点を抽出します。
特に、課題として明確化したテーマに関しては、その課題を可能な限り数値化する必要があります。
なぜ数値化するかと言いますと、測定できないものに関しては管理できないからです。
管理できない項目は改善しようもなく、有用な基準が設けられません。
更に物流改善を実行するには「管理項目の可視化」が絶対条件となります。
在庫品数を削減するにも、運賃を削減するにも、現状値Aが将来値Fになることで、どれだけの効果Eが産み出されるのかを、事前に計画する必要があります。
その計画は具現化可能なアクションプランとして明文化し、関係者へ配布することで情報共有を行います。
その後、改善による果実収穫(実行プロセス)へと進むのです。
・・・次回は、3PLへ物流業務のアウトソーシングを実行しているケースについてお伝えします。