第267回 変貌する物流戦略その13
「荷主企業の取るべき施策」(7)
荷主企業における物流オペレーション部門に求められる知識とスキルは、以下7項目です。
1.現場遂行力(オペレーション力)
2.スタッフマネジメント力(募集、採用、教育など)
3.倉庫ロケーション設計力
4.倉庫情報システム(WMS)理解力
5.輸配送マネジメント力
6.改善力
7.生産性分析力
前回に引き続き、輸配送マネジメント力について考察致します。
まずは、輸送事業者と契約している自社運賃がどの水準・レベルにあるのかを知らなくてはなりません。
“井の中の蛙大海を知らず”ということわざが、そのまま当てはまる方もいるかもしれません。
トラック運賃や海上運賃・航空運賃などは基準となるべきタリフやレート、そして市場価格(相場)が存在します。
基本的には、相対の中で市場の需給バランスと取引関係の強弱によって市場価格は設定されます。
自社の調達運賃が、最適な水準に収まっているのか否かは、市場価格との比較によって、初めて評価されるものです。
■運賃は以下4段階の水準に区分されます
1.市場価格以下の水準
2.市場価格の下層帯
3.市場価格の上層帯
4.市場価格以上の水準
現況において、荷主企業が最適な運賃調達ポジションと言えるのは、上述の 2.市場価格の下層帯レンジとなります。
3.市場価格の上層帯であれば、コストダウンを目指すべきです。
4.市場価格以上の水準であれば、抜本的に委託先の見直しや、委託先企業を再選定する必要があります。
最も問題なのは、1.市場価格以下の水準で契約している荷主です。
運賃高騰のこの時代、運賃上昇プレッシャーはどの荷主企業にも該当する訳ですが、輸送事業者から見た「早期是正のターゲット」は市場価格以下の契約荷主となります。
仕事量(荷物量)と輸送力(トラック台数)のバランスは、もはや逆転しています。
ドライバー不足の決定的な解決策が見いだせないトラック業界は、収益率の改善を最優先課題と位置づけています。
運賃を上げないとドライバーの賃金を上げることができず、従業員の確保や今後の成長が見込まれないからです。
荷主企業の物流管理部門としては、自社の運賃水準を知ることで、自社のリスクを明確化し、回避策の立案が可能となるのです。
・・・次回からは、物流の改善力ついて考察します。