第266回 変貌する物流戦略その12
「荷主企業の取るべき施策」(6)
荷主企業における物流オペレーション部門に求められる知識とスキルは、以下7項目です。
1.現場遂行力(オペレーション力)
2.スタッフマネジメント力(募集、採用、教育など)
3.倉庫ロケーション設計力
4.倉庫情報システム(WMS)理解力
5.輸配送マネジメント力
6.改善力
7.生産性分析力
今号は、5.輸配送マネジメント力について考察致します。
5.輸配送マネジメント力
輸配送に関わるコストは、物流コストの概ね50%以上を占める極めて重要な管理項目となります。
昨今の運賃値上げトレンドでは、最も管理が困難であり、かつ最も早急に解決が求められる課題です。
なぜこの時期に大幅な運賃値上げが求められるのかについては、いずれ別の機会にお伝えします。
ここでは、荷主企業の物流管理担当として、最低限知らなくてはならないその理由について述べておきます。
運賃上昇の理由としてまず一つめは、ドライバー不足による人材確保コストの上昇です。
新規採用及び中途採用と、いずれも運輸業は人材確保が困難な状況となっています。
そして二つめは、労務管理(長時間労働)の徹底化によるコストアップです。
大手企業だけの施策ではなく、トラック業界全体の課題として急速に是正が求められています。
この問題を解決するために輸送コストは上がっていきます。
最後に適正運賃取引があげられます。
これまでの過当競争時代が招いた業界全体の課題ではありますが、今になってこれまでの悪循環に陥っている競争モデルを是正しようと、パラダイムチェンジが巻き起こっています。
運送会社には強い姿勢で交渉をすれば何とかなるといった過去の取引基準を捨てる時代です。
これからは、適切な運賃水準であり、そのサービスにおける市場価格レンジに収まっているかを自主的に判断しなくてはなりません。
筆者が唱える最適な運賃理論とは、以下のレンジに収まることを意味します。
1.市場価格以下の水準 < 2.自社運賃レベル < 3.市場価格の下層帯 <4.市場価格の上層帯 < 5.市場価格以上
読者の皆様は、現在自社が調達している運賃水準がどのレンジの水準なのか把握できているでしょうか?
・・・次回は、各運賃レンジにおけるリスクについて考察します。