第238回 物流サービスの対価その3
今シリーズは、荷主へ提供される物流サービス対価についての考察いたします。
物流購買価格の適正さを判断するには、以下二つの視点が必要です。
- (1)市場価格が形成されているサービスか?
- (2)特定もしくは差別化されたサービスか?
(1)市場価格が形成されているサービス市場価格が形成されているサービスとは、物流企業から提供される物流サービスが既に定着もしくは認知されている内容です。
一番わかりやすい例としては、倉庫賃料や保管料です。
一般的に倉庫賃料は、当該物件のある地域における周辺相場の坪当り単価を基準 としています。
個建料金である三期制も、坪当り賃料を基準として算出されています。
厳密に分解すると以下5項目が基準となります。
土地代金 建物・設備建築費 補修に関わる費用 租税公課 金利及び保有者利益
これら5項目の合計値と実際に売買されている倉庫賃料は、需要(賃借人)と 供給(賃貸人)のバランスにより一定の範囲に収斂され、市場価格として相場を形成 することになります。
設備や仕様は標準装備と特別装備の二通りがあります。
例えば、エレベーターや垂直搬送機、高床式仕様などは標準装備となります。
冷凍冷蔵装置やドックシェルター・ドックレベラーなどは特別装備となり、別途 費用が加算されます。
※最も最近の大型物件は、上記の特別装備が標準装備となっている傾向です。
ある意味市場が求めている現実を捉えて、標準装備へと進化したと思われます。
倉庫賃料の場合、市場価格を的確に掴んだうえで個別見積や条件交渉をすることで、 最適な購買原価での調達が可能となります。
最後に、ひとつの事例を書きます。
倉庫賃料が坪当たり6500円の契約をしています。
契約時に複数物件の見積を取得し比較しましたが、都内近郊で駅からも近いため、 割高感はあったものの、現状の物件に決めました。
しかし、実際の当該物件周辺の市場価格は坪当たり4000円〜4500円でした。
この情報を契約前に入手していた場合、本当に@6500円で契約していたでしょうか?
答えは当然「No」ですね。
市場価格を知ることは、全ての購買に関わる重要な視点であり購買プロセスには 欠かせないフローとなります。
・・・次号へ続く。
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