第234回 物流企業の成長戦略6
前回に引き続いて、中小物流企業の成長戦略を考察します。
今回は「中小企業の成長戦略その3」”協業体制化”です。
中小物流企業が勝ち残る差別化戦略は、以下3点が想定されます。
地域密着化 ・特定地域に密着し、あらゆる物流サービスを展開する 消費材徹底化 ・食品、日用雑貨など消費材における物流市場をとことん追求する 協業体制化 ・自社単独で戦うのではなく、戦略的パートナーシップを構築し複数連合で展開する第三の『協業徹底化』とは、自社の生き残り戦略を実践するために、他社 とのアライアンス(提携)を強固にし、複数連合企業で目的を達成する戦略です。
物流サービスのトレンドは、運送や倉庫、荷役などの単一オペレーション時代から、 それぞれの機能を合わせ持った複合サービス(マルチオペレーション・サービス) 時代へと進化しています。
進化の理由としては、単一オペレーションで発生したそれぞれの管理コストや インターフェイスコストを削減し、手配業務や業務プロセスの合理化を目指した マルチオペレーションモデルが主流となったからです。
また、マルチオペレーションを荷主企業が志向する根底には、物流企業が推進する 3PL志向の浸透が多きく影響を受けていると推察されます。
中小企業にとりまして、荷主企業の求めるマルチオペレーションは、設備やネットワーク 、人的リソースなどからみても単独で構築するには負担が大きいため、外部企業との 戦略的アライアンスが有効な戦術となります。
「持たざるを嘆くより、等からざるを憂える」との言い伝えもあります。
『協業徹底化』を実現するためのアライアンスは、戦略的な目的・目標を共有すること が重要であり、自社資源の限られた中小企業や自社資源を思い切って投入し難い海外 展開で発揮される戦略となります。
経営資本の異なる複数社が、目的・目標を合致させて事業を取り組むには、その 役割と責任を明確にする必要があります。
業務の重複や責任区分の曖昧さが残ったままでは、アライアンスパートナーとの連携 は永続できないこともあり得ます。
以下、外部経営資源を活用するための必要要件をまとめました。
〜『協業徹底化』を推進するための、重要な取り決め事項〜
- (1)顧客(荷主)との取引窓口の一本化(契約は単一企業)
- (2)パートナー企業との役割、業際の明確化(フロー図にして全体で共有する)
- (3)パートナー企業との責任区分の明確化(フロー図にして全体で共有する)
- (4)関係各社の収益構造の明確化
- (5)関係各社の再委託先の明確化
次回に続く…。
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