第233回 物流企業の成長戦略5
前回に引き続いて、中小物流企業の成長戦略を考察します。
今回は「中小企業の成長戦略その2」”消費材徹底化”です。
中小物流企業が勝ち残る差別化戦略は、以下3点が想定されます。
- 地域密着化 ・特定地域に密着し、あらゆる物流サービスを展開する 消費材徹底化
- 食品、日用雑貨など消費材における物流市場をとことん追求する 協業体制化
- 自社単独で戦うのではなく、戦略的パートナーシップを構築し複数連合で展開する
第二の『消費材徹底化』とは、獲得する(取り扱う)貨物のターゲットを、基本的に消費材に絞り込むことです。
貨物(商品)はその形態から、「生産材」「消費材」と2つに区分されます。
「生産材」とは、最終形の完成品となる前の部材や半製品及び原材料となります。
例えば、化学品を作る基となるナフサや自動車を作る部品や電子パーツなどです。
これら生産材は工業製品が多く、主に製造業を対象とした物流が主流となり、基本的な 取り組みスキームは”BtoB”です。 貨物の届け先はほぼ全てが企業となります。
「消費材」とは、消費を目的として企業や家庭から需要があるものをいい、物理的な 耐久用途からみて、「耐久消費財」と「非耐久消費財」に分類されます。
取り組みスキームは”BtoB”と”BtoC”の両方となります。
耐久消費財は、ある一定期間の消費が可能なもので、家電製品や自動車・家具・衣類 などがあげられます。
また、非耐久消費財とは原則一度だけの使用で消耗されるもので、食品や医薬品・ 紙類・化粧品などがあげられます。
中小物流企業の成長戦略として、消費材を徹底的に集めることです。
生産材は、各生産会社の工場が海外へシフトしていく現状のなか、市場そのものが 成長することは困難です。
国内の空洞化は加速されていく現在、この生産材中心の物流サービスは極めて不安定 な状態となります。
一方で、日本の人口約1億2千数百万人の消費するモノ(商品であり貨物である)は、 人口減少の影響があるとはいえ、安定的な需要が発生しその需要を満たすためのモノが動きます。
モノが動けば、物流が発生し、物流サービスが市場から求められることになります。
いかに的確にモノの動きを掴み、市場の要求する物流サービスを提供できるかが、 中小物流企業の成長戦略となります。
「消費材」の物流市場は、温度管理・リードタイム・配送シーン・付加価値サービス など多岐に渡ります。
大企業でなくては取り組めないサービスから、中小企業でも十分に取り組み可能な サービスまで、まだまだ市場に期待も持てます。
他社との差別化を図れるニッチな物流サービスも既に散見されます。
『中小企業の成長戦略=生き残り術』とは、自社が生きていく市場とその競合を知り、 お客様を明確に策定し、そのお客様が何を望んでいるのかを知ることから始まります。
次回に続く…。
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