第231回 物流企業の成長戦略3

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

今回は、中小物流企業の成長戦略を考察します。

大資本物流企業は、その資金力を活かした投資戦略や重厚な組織戦略によって、荷主企業 への積極的アプローチが可能となります。

また、コストリーダーシップ戦略が発揮できるのは、市場で高いシェアを得ている大資本物流企業の特権です。

一方で、中小物流企業が描く成長戦略はズバリ”差別化戦略”となります。

サービス内容・地域・付帯サービスなど、競合と戦って勝てる領域を見つけ出すことです。

日本の物流市場では、”3PL”という手法が合い言葉のように拡大しています。

包括的に顧客企業の物流を請け負い、倉庫・荷役・配送・物流情報システムなどを一括で元請管理し、 顧客にとって競争優位な物流サービスを提供する業態です。

倉庫・荷役・配送の元請け化は従来から存在する形態でした。

しかし、高度な情報システム・高機能物流センターの提供は大きな資金が必要です。

※不動産ファンドの大型物流センターを賃貸することは可能ですが、平均的に約6ヶ月間の保証金が必要 となり、その資金は一切の金利が付かず、流動できない資金となる。

B/Sの軽い中小物流企業にとって、 流動性の無い資金はキャッシュフローを重視する現代経営上の致命傷となる。

中小物流企業は、間違っても大資本物流企業と同じ市場で戦ってはならないのです。

製造業の生産体制海外シフトの潮流を止める事は困難です。

従来の工場付近に存在した国内製品倉庫は、輸入港近郊の大規模倉庫へとシフトされていきます。

通関業務や港湾サービスなど、新規参入者には極めてハードルが高い領域です。 ではどの領域で”差別化”を図れば良いのでしょうか。

中小物流企業が勝ち残る差別化戦略は、以下3点が想定されます。

  • 地域密着化 ・特定地域に密着し、あらゆる物流サービスを展開する 消費材徹底化
  • 食品、日用雑貨など消費材における物流市場をとことん追求する 協業体制化
  • 自社単独で戦うのではなく、戦略的パートナーシップを構築し複数連合で展開する

次回に続く…。

ご意見やご質問などございましたら、いつでもお気軽にどうぞ!

akamine@f-logi.com (アカミネセイジ)まで

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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