第222回 ポスト3PLの時代(20)
前号に続き、Web通信販売企業A氏から相談された「物流コンペ」の模様を紹介します。
コンサルタントB氏から再度の詰めとして、将来のリスクに対する回避策と改善を実行する上での、施策を取り決めるとの説明があった。
まずは当社内でドラフトを作成し、委託先企業と詰めを行うと言われた。
A氏の認識では、ひとたび物流の委託契約が締結されれば、次回の契約更新時までは双方料金やサービスレベルに対して変更は出来ないと思っている。
現段階は、委託先の選定が終わり契約に向けた準備に入っているので、料金の交渉や委託内容の変更は特に想定していない。
リスクについては、十分議論を重ねたうえで委託先選定を行ったので、将来におけるリスクと言われても想像がつかないA氏であった。
コンサルタントB氏との定例ミーティングの前日、A氏のもとへ1通のE-mailがB氏より送られてきた。
”物流SLA導入に向けた項目一覧”とファイル名が付いている。
そういえば、コンサルタントB氏が以前言っていた言葉を思い出した。
「SLAが今後の物流アウトソーシングを成功に導くキーファクターです」 SLAとは、サービス・レベル・アグリーメントが正式な名称で、通信システム業界では一般的であり、サービス提供者が利用者へ向けて品質を保証するものと説明を受けた。
コンサルタントB氏の資料には、「物流SLA・・・」と記載されているので、定例会前に目を通しておくことした。
送られてきたPDFファイルを展開してみると、A氏の想像を超えたページ数であることに驚いた。
目次には、以下7つの大項目がある。
(1)SLAの概要について
(2)SLA策定の定義について
(3)SLAとして想定される項目一覧
(4)項目詳細及び想定パフォーマンス一覧
(5)改善計画について
(6)想定されるKPIについて
(7)コストダウンとインセンティブについて
「この資料を全て、明日の定例会までに読むようにと書いてあるが・・・」今日のA氏は定時で退社する予定だったが、この瞬間に到底無理だろと脳裏をよぎった。
次号に続く…。