第212回 ポスト3PLの時代(10)
前号に続き、Web通信販売企業A氏から相談された「物流コンペ」の模様を紹介します。
物流企業からの提案内容をまとめると、以下のようにそれぞれ分類することができた。
どの企業の提案も、横並びで比較できるためその特徴がわかり易くなっている。
以前A氏が単独で行っていた時の各社提案書は、それぞれが独自のアピールポイントを主張し、項目としての比較が困難な形式であった。
なぜ物流委託先を選定するためにRFPを作らなくてはならないのか、選定を行う段階でその重要性が理解できた。
■物流施設について
(1)自社倉庫利用
(2)外部倉庫利用
■倉庫ロケーションについて
(1)都心の倉庫
(2)郊外の倉庫
■倉庫管理システム(WMS)について
(1)物流企業が既に保有しているシステムをカスタマイズし、荷主がハード及びソフトともに利用する。
(2)新システムを開発する。保有(購入)は荷主・物流企業どちらでもよい。
■宅配便について
(1)物流企業の指定する大手宅配会社を利用する。
(2)荷主企業の指定があればそれに応じる。契約は荷主企業が直接でも、物流企業経由の契約でも応じる。
■料金について
(1)全ての商品を入庫・出庫・保管・梱包・運賃と概ね5項目で単価が設定される。
(2)上記4項目が商品アイテムや出荷形態毎に細かく設定されている。
A氏の所感は、全ての項目において(1)の方が良いのではと感じた。
物流業界では、「一貫物流」や「トータルロジスティクス」などといった手法が流行だと何かの本で読んだことがある。
A氏も倉庫やWMSなどは物流企業の保有するものを利用すれば、荷主企業は委託先変更の都度発生する初期投資を免れることと、財務担当が口にしているROAを高められる手法だと考えている。
また、宅配会社と直接契約をすることは、運賃交渉や支払処理における手間だと思っている。
特定の物流会社を1社に絞って、総元請会社とした関係が物流業務委託ではトレンドであり、よく耳にする「3PL」だと認識している。
今時は、「3PL」手法を活用するのが当たり前で、3PLを利用すれば、今後の改善もきっと期待できるものだと自負している。
そんなA氏を、またもコンサルタントB氏の発言が・・・。
次号に続く…。