第206回 ポスト3PLの時代(4)

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

前号に続き、Web通信販売企業A氏から相談された「物流コンペ」の模様を紹介 します。

web通信販売企業A氏を訪れた物流企業は約10社。

大手の総合物流企業から、 宅配会社・営業倉庫と様々な物流企業の3PL部隊がセールスに来てA氏と面談した。

それから約2週間後、A氏のもとへ続々と物流各社から提案のアポイントが入り、A氏はそのひとつひとつの営業担当者と丁寧に面談時間を設定し、提案を受けた。

A氏は各社の提案書を入念に読み、今後どこと詳細な打ち合わせを進めるべきか 思案したところ、物流各社が提案した料金やサービスレベルがとても相対的な比較検証できる内容でないことが判明した。

よくよく考えてみると、A氏が物流各社へ提出した※定量情報や定性情報は、それぞれ 質問されたもしくは依頼された情報のみを提供しており、各社へ統一した情報提供が図れ ていないことが思い出された。

例えば、ある会社には直近1ヶ月分のみので出荷データを渡し、ある会社には1ヶ年分 の在庫データを渡している。

請われるがままにデータを渡し、ヒアリングを受けたことが招いた結果である。

それから約2週間が経過し始めたころ、物流各社から提案についての回答を求める連絡が次々に入るようになった。

併せて、既存物流企業の日常業務もこれまでとは違ったよそよそしい対応が感じられ、急激な不安を感じることとになった。

日常業務に忙殺されているA氏であったが、この局面にきて自分自身の計画の未熟さや、多くの企業を巻き込んでしまった事態に気付き、慌てて経営幹部に相談することに なった。

※定量&定性情報について

(1)定量情報:出荷データや入荷データ・在庫データなどの事実に基づく数字化された情報のこと。

(2)定性情報:受注締め切り時間や最終出荷対応時間・取扱アイテム数などの情報と顧客との取り決めや約束事または、今後の予測情報のこと。

次号に続く…。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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