第205回 ポスト3PLの時代(3)

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

前号に続き、Web通信販売企業A氏から相談された「物流コンペ」の模様を紹介 します。

A氏が引き起こした物流コンペに関わるトラブル第一弾は、現行センターの運営を委託している先への配慮欠如による「既存事業業からの反発」であった。

ことは、センター業務を請負っている既存物流企業が、A氏が同業数社へ委託先変更のため提案を求めていることを知ったことに始まる。

なぜそのような情報を知りえたかというと、A氏が声をかけた別の会社から既存物流企業へ空倉庫の打診があったからだ。

この業界では自社倉庫に加え、同業やファンドの運営する倉庫を外部倉庫として 利用することは一般的な手法である。

新規の案件を相談された物流企業は物件探しから始めるため、委託先変更の際には 細心の注意を払いながら、情報統制を行う必要がある。

物流アウトソーシングの委託先を変更するには、経営レベルでの意思決定を行ったうえで、慎重に進める手立てを講じることが肝要。

特に、既存委託先(アウトソーサー)に関しては、今後利用するか否かの大前提を(下記のように)社内で議論しておく必要がある。

(1)今後は利用しない

(2)新たな提案を受けその内容が合致すれば継続利用する

ある日A氏のもとへ、既存物流企業の営業担当者が血相を変えて訪ねてきた。

「倉庫を探していると聞きましたが、どうなっているのでしょうか?」

「当社は何も聞いておりまえん」

と立て続けに、もの凄い剣幕であった。

A氏は押し切られるかたちで事情を説明し、既存物流企業にも新しい提案を依頼することとなった。

そんな既存委託先との騒動のなか、A氏のもとへ次々と物流企業からのアポイント依頼が殺到する。

この時期「A社が新センターを探している!」との情報が業界に出回り、3PLを標榜する多くの物流企業にとって注目の的となっていたのである。

数社の物流企業と会い、物流センターの委託先変更プランを告げたA氏は、意気揚々と3PL企業からの提案を待つことにした。

次号に続く…。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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