第204回 ポスト3PLの時代(2)

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

前号に続き、Web通信販売企業A氏から相談された「物流コンペ」の模様を紹介 します。

A氏は、知人から紹介された物流企業から「3PLで全て請負います」との提案を受け、既存を含めた数社による物流コンペを行うことになった。

元来、自社物流にて発送業務を行っていたが、業務拡大を機に3年前より物流 企業へアウトソーシングしていた。

物流センターを管理するWMS(ウェアハウス・マネジメント・システム)は自社の基幹システムを活用し、業務委託先である物流企業へ持ち込む形態で継続利用中である。

また宅配便は、従来の大手宅配(路線)会社との直接契約であった。

今回、荷主企業A氏の要望は、

(1)コストダウン

(2)フルアウトソーシング化

(3)しかも、イニシャルコストを極力かけない

以上、3点であった。

よくよく聞いてみると、知人の紹介である物流企業から「当社の3PLで全て 実現できます」という提案を受けた、というのは後づけの理由と思われた。

元々、既存のセンター運営を委託している物流企業や宅配会社への不満があった わけではなく、「そろそろコスト低減が出来るといいな・・」といった漠然とした 動機で物流コンペを実施することにした様子。

既存の物流企業から、委託開始後に目立った提案もないまま約3年が過ぎ、 両社の関係は俗に言う「マンネリな関係」となっていたことは否定できない状態であった。

このレベル(この程度!?)の理由で、委託先変更(アウトソーシング先変更)を 進めてしまうA氏の稚拙さが、その後大変な騒動を巻き起こすことになることを、 A氏は気付くよしもなく・・・。

通販企業にとって、物流のアウトソーシング実施や委託先変更は、経営に重大な 影響を及ぼす経営戦略の一貫であることをA氏は理解していなかったのである。

次号に続く…。 

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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