第178回 物流アウトソーシングの落とし穴(11)~物流SLA(サービス・レベル・アグリーメント)~

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

■マスタープラン(全体計画)

課題・問題点の解決を図るには、時間軸で区別する短期アクションプランと中期アクションプランの2種類の計画を策定します。

短期計画と中期計画を纏めたものをマスタープラン(全体計画)と表現しますが、ここで注意しなくてはならないのが「全体は部分の総和にあらず」であり「部分最適」「全体最適」とは限らないことです。

1.マスタープラン(全体最適)の策定
2.短期アクションプラン(1年以内)の策定
3.中期アクションプラン(1年超〜3年程度)の策定

部門内に潜む課題だけの解決では、全体解決には至らずにより複雑なしがらみや壁を作ることになってしまいます。

物流最適化を目指す計画は、荷主企業・物流企業・サプライヤー・バイヤーといった全てのステークホルダーを俯瞰し、全体最適を意識したマスタープランの策定が重要な位置づけとなります。

個々の活動が相関したバリュー・チェーンでは、全体の効率性を高め、チエーンの価値を高める問題解決力が求められます。

■物流SLA(サービス・レベル・アグリーメント)の導入

アクションプランを実行し、改善や問題解決を迅速に図るには物流SLAの導入が極めて有用な手法となります。

物流アウトソーシング時において、物流企業が提供するサービスの質は運用が開始するまで本質的な評価は困難だと思われます。

物流SLAを導入することによって、物流サービスの可視化が図れアクションプランのゴールに向けた具体的な活動が明確になり、達成した成果を荷主企業と物流企業とで配分する共栄のシクミが実現できます。

2009年度を振り返ると、年初からの世界同時不況の影響で多くの優良企業が赤字に転落してしまいました。

この現象は世界経済が包含していたリスクを想定できなかったことによる社会全体の問題です。

2010年度は、「個別思考」から「全体思考」への変革を実現し、バリュー・チェーン全体での共栄が社会における貢献と位置づけなくてはなりません。

二番底が懸念される中、読書の皆様方はどのような年末年始を過ごされるのでしょうか?

『終わりの始まり』2010年度の小職が唱えるキーワードです。

来年も、物流に関する様々な事象や課題を考察していきます。

本年度も大変お世話になりました。

船井総研ロジグループ全てのステークホルダーの皆様に感謝申し上げます。

皆様に希望が持てる『始まり』が起こりりますことを、お祈り申し上げます。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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