第174回 物流アウトソーシングの落とし穴(7)~現状把握の重要性~

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

■現状把握の重要性

アウトソーシングを実行するには、荷主企業の物流業務に関わる現状把握が極めて重要となります。

現状把握を実施する内容は在庫実績や出荷実績などの定量的な情報と営業部門や情報システム部門との連携、業務運営に関わる様々な規定や慣習などの定性的な情報に分類されます。

特に、過去からの慣習として既存業務の中に埋没しているムダな作業や工程は多くの企業に存在しますので、企業に内在する潜在的な課題・問題点の抽出が期待されます。

現状把握プロジェクトを実施するメンバーは、次のような視点を取り入れることが肝要です。

第一は第三者視点を持って望み、組織や部門における不可侵領域を作らないと。

第二は課題・問題点を明確に抽出し、経営トップに全ての事実を伝えることであります。

■課題・問題点の抽出

現状把握を終えると、調査した内容を項目毎に纏めます。

課題・問題点を抽出するポイントは、「ゼロベース思考」です。

これまでの既存の枠にとらわれずに、常に第三者視点で見て・聞いて・考える必要があります。

自社の「常識」は社外から見ると「非常識」なことも有り得るため、既成概念を取り払い、視野を大きく広げて課題・問題点を抽出します。

提起された課題・問題点は、「何が原因か?」をしっかりと議論し、アウトソーシング先に持ち込まないことです。

物流オペレーションに関する課題・問題点であれば、プロの物流事業者へ委託することで解決します。

一方で、荷主企業の組織や業界慣習に関わることはアウトソーシング以降も解決されない場合が多いため、残された自社の課題として原因の分析を行っておくべきでしょう。

次号に続く。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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