第152回 ファイナンス3PLの展望(4)~物流と金融の融合「ABLとフィールド・イグザミナー」~

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

『ABL&フィールド・イグザミナー』

物流と金融の融合を考察すると、『リファクタリング』の次に具現化しそうなものとして、『ABL:Asset Based Lending(動産担保融資)』が考えられます。

このABLとは、米国では既に普及しており不動産担保融資・無担保融資に次ぐ企業の資金調達手段として今後の発展が大きく期待されます。

主な担保として、不動産以外の動産(在庫品・機械設備等)や債権(売掛等)など流動性の高い資産を活用した借り入れ手法となります。

ではABLと物流がどうして融合関係にあるかということを事例を用いて示していくことにします。

(小売業A社)は仕入商品を一旦、営業倉庫である(B倉庫)で保管します。

A社はB倉庫にある在庫商品を担保にX銀行からABLを利用した融資を受けることになりました。

X銀行はA社の在庫商品に対して融資枠の設定を行い、最低在庫数量が取り決められます。この場合、X銀行はB倉庫に保管されている在庫商品を担保としているので、その担保が最低在庫数を下回っては困ります。

また、担保商品の保管状況も重要であり、保管中の毀損や瑕疵があっては絶対になりません。

B倉庫にある在庫商品は、担保といっても流動しているA社の販売商品ですので、日々入荷や出荷があります。

X銀行が、この商品の動きを毎日確認したり、月々の棚卸在庫を実地確認する事は銀行業務の性質上困難なことといえます。

そこで、X銀行は信頼のおける外部機関へ商品の数量確認や在庫状態の監視を目的としてモニタリングを委託することになります。

この担保商品のモニタリング機能こそが、3PL事業者の領域で提供可能であり、在庫のリアルタイム管理・出荷規制・凍結・保全などといった担保管理にも十分対応可能だと思われます。

資金の貸し手であるX銀行としては、担保商品(在庫)の資産管理が、ABLを実行するうえで最も重要な要件となります。

その管理業務を担う『フィールド・イグザミナー』はABLスキームにおいて欠かせない重要な役割となるわけです。

もちろんB倉庫も『フィールド・イグザミナー』としての機能を果たすことは可能です。

しかし、A社の既存取引先であるB倉庫には、金融機関の代行として荷主の資産管理を担うには、とても困難状況であることは読者の皆様も想像されることと思います。

次号に続く。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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