第146回 「物流企業のブランド戦略(2)」〜アイデンティティーの構築〜

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

『絶対的な価値』

物流企業が『絶対的な価値』を生み出すには、顧客思考の原点に回帰する必要があります。

物流企業とは、輸配送・保管・荷役を中心とした経済活動における“流通”の担い手であり、荷主企業の分業施策を適切に吸収したディフェンス型の産業構造ともいえます。

業界の発展経緯は、荷主企業の成長に合わせて規模の拡大と投資を行い、荷主企業の利益創造に大きく寄与しその発展を同時に享受してきました。

多くの創業オーナーは、荷主の要望に耳を傾け、ひた向きに分業された業務に取組み、その功績が認められ取引の拡大・継続へと進みました。

大手企業では、そのシクミが装置化され大量に商品を流通させる合理的なプロセスが進行し、システマチックな「装置産業」としてより強大な勢力を形勢しました。

「大資本」の企業と「小資本」の企業では、必然的にその戦略は相違します。

『ブランド化』といえば、大手企業や有名企業の取る施策だと思われがちですが、「小資本」であり「中小零細」企業でも、自社ないしは自社の提供するサービスを『ブランド化』することは可能です。

古くは戦国時代、諸国の群雄は出陣に際して必ず「馬印」を大将の側に立てて敵軍と戦いました。

自軍にとっては大将の所在(生死)を示す目印であり、敵軍にとってはその旗印が武将としてのアイデンティティーであり、過去の戦歴や武勇を示す明確な「ブランド」でありました。

ビジネスの世界においても、他に知らしめることが可能なアイデンティティーを築き、それが荷主にとって有意義なものであれば『ブランド化』は可能となります。

シクミによって硬直化し装置化された物流業界は、専門性や特化に深耕した荷主代行サービスが新時代のブレイクスルーと成り得るものです。

分業によってその領域は拡大しますが、参入障壁の高くない数多の物流サービスは、多くの時をかける間もなく相対的な価値が形勢され、利益を創造しずらいディスカウント合戦へと突入するものです。

今や物流サービスによる付加価値は、「客観的な価値」と「主観的な価値」に分かれている事実を認識し、ムダの無い最適な『付加価値』の提供が求められていると思われます。

自社のアイデンティティーを『ブランド化』し、オフェンス型の営業戦略こそが、競争優位な営業体制へと導いてくれます。

次号に続く。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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