第144回 荷主企業のリスク対策プログラム(9)

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

荷主企業の物流アウトソーシングにおける管理リスクには、以下の6項目が想定されます<前号より続き>。

<1>品質低下によるもの 
<2>コストアップによるもの 
<3>流通形態の変化によるもの 
<4>商品形状の変化によるもの
<5>物量の増減変化によるもの
<6>委託先の突発的な取引停止によるもの

<6>委託先の突発的な取引停止によるリスク

委託先の突発的な取引停止とは、倉庫荷役やセンター業務・輸配送などの物流業務をを委託している取引企業が何らかの事情により、業務継続出来なくなった場合を想定します。

□想定される取引停止事情

①委託との料金交渉が決裂するケース
②委託先が経営破綻に陥るケース
③委託先の重大な法令違反による信頼の失墜が発生したケース

上記3点は、ある日突然起こりうることではなく、事前に何らかの兆候は見えているはずです。

取引の継続が困難となるには、荷主企業の理由によるものと、物流企業の理由によるものと区別して想定します。

に関しては、その交渉過程において大筋の流れは掴んでいるはずなのである程度(一般的には3ケ月から6ケ月間)の猶予期間があるでしょう。

②③のケースが、本シリーズ「リスク対策プログラム」の本命といえます。

本当の危機とは、思いがけないところやタイミングで発生するもので、ちょっとした変化や小さな障害がリスクの出現に繋がることがあります。

物流業務を委託している取引企業が、昨今の経済環境下において、突然倒産に陥る事は、十分に想定される時代です。

倉庫業務から輸配送に至るまで、全ての物流業務を一括アウトソーシングをしていると、この危機から無事に免れることは困難でしょう。

取引継続におけるリスク回避策は、そのリスクが発生してから対処方法を考えたのでは、自社の営業に大きな影響を与えることとなります。

物流アウトソーシングを実施する場合、自社物流では有り得なかった多くのリスク発生が考えられます。

事前にそれらのリスクを想定し、予め建てられた計画に基づいて回避策を実行することが、「リスク対策プログラム」です。

リスクの回避とは、物事の表面的な部分だけを見るのではなく、その本質を注意深く考察し、リスクのレベルに合わせて段階的に対策を実行することが、二次災害の防止にもなり、最良の方法と成りえるものです。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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