第135回 新型3PL~非物流業の黒船来襲(4)~
21世紀物流黒船の事例③
物流黒船の最後を飾る新ビジネスは「オフィス向けプラットホーム型」サービスをご紹介します。
このサービスは、オフィス用文具・家具をBtoB通販で販売している企業が、自社の商品を配送する時に、顧客が他社から購買した商品を共同配送でお届けする業態です。
百貨店や量販店(家電や衣料品などを大量に仕入れて安く売る店)・GMS(総合小売業)にCVS(コンビニエンスストア)と現代の主流的な小売業は今や大半が専用物流センターの構築により、共同配送が実現されています。
その殆どが、販売を目的とした最終商品の調達行為であり、店舗での複数車両による納品(受け入れ)業務の軽減と、地球環境を考慮したCO2削減などが効果として表れます。
約10年以上も前になりますが、新宿の某大手百貨店への納品車両は、貸し切りトラックから小口宅配便まで含めると1日約1000台の車両が出入りしていると聞きました。
これを専用物流センターへの集約率を高める事によって、今では約70%以上の納品車両台数が削減できたそうです。
この視点は、製造業の工場や卸売業の倉庫にも拡大し、今や配送速度や条件を売り物とした競争優位な考え方は、やや陳腐なものとなり、共同化によって各企業はコストとCO2を削減するSCM的思考へと変革しようとしています。
我々が就業しているオフィスへも、宅配便・郵便物・文具・DM・備品類など多くの納品が複数の運送形態で成されている実情です。
この「オフィス」への配送を共同化して、顧客サービスの向上を図り且つ自社の本業である文具・業務用家具類等の販売を伸ばして行く戦略が今回の「オフィス向けプラットホーム型」黒船であります。
100年に一度と言われるこの景況下において、オフィスの合理化は至極当然の行為であり、オフィス向け納品の共同化は時流に適ったサービスであると筆者も納得します。
今回のシリーズは、「コールセンターサービス」「ITサービス」「オフィス向け購買サービス」による物流黒船の3事例を取り上げましたが、いずれも「合理性」「接客性」「関連性」「協業性」といったキーワードが盛り込まれており、時流に乗った物流新業態が「21世紀物流黒船」の正体です。
筆者の好きな書籍で「ブルー・オーシャン戦略」という大ヒットしたビジネス本がありますが(ランダムハウス講談社発行)、その一説には
「縮小しがちな既存需要を分け合うのでもなく、競合他社との比較を行うものでもない。ブルー・オーシャン戦略は需要を押し上げて、競争から抜け出すことをねらいとする。」
と書かれています。
物流に関わる世界でも、今後更に進化したサービスは誕生し、運送・保管・荷役といった直接的なオペレーションサービスに変わる新型3PL事業者は、続々と非物流業から参入する日もそう遠くはないでしょう。