第127回 縮小化時代における荷主施策その4

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

大型センターと専用センターどちらを選ぶ?

今回は物流業務を委託する上で重要な決め手となります、物流センターの規模及びその仕様について考察します。

近年の物流業界では、一括アウトソーシングブームや荷主企業の拠点集約による物流センターの大型化が進んでいます。

物流不動産投資ファンドによる、「大型物流センター」も数多く建設され、その借り手は今や、荷主企業よりも物流企業が大半を占めています。

荷主企業の拠点集約とは、複数に分散していた物流センター及び在庫型倉庫を集約して、在庫削減と規模の拡大による物流コスト削減を目的に1990年頃(バブル崩壊)から活発になった物流コスト削減策とも言えます。

従来の日本の物流倉庫は、限られた条件の中で狭隘な環境のもと、ひとつのフロアーが300坪〜1,000坪で3階〜5階建てといった構造が主流でした。

大型物流センターとは、ひとつのフロアーで2,000坪〜7,000坪もあり総床面積でも10,000坪から30,000万坪超の物件もあります。

またその仕様も、従来のエレベーター式や垂直式搬送機(パレット専用)と40フィート海上コンテナも走行可能なランプウェイ式(自走型)など近代的な構造へと新化しています。

では、2,000坪を利用する在庫型物流センターを選ぶ場合でも、以下のような複数の物件が考えれます。
※業務委託も含めて、全て物流企業へアウトソーシングする場合

(1)500坪の4階建てを全て専用的に借りる。(エレベーター式)
(2)1000坪5階建ての4階5階部分を借りる。(エレベーター式)
(3)2000坪5階建ての2階を全て借りる。(エレベーター式)
(4)4000坪5階建ての3階半分を借りる。(ランプウェイ式)

この(1)〜(4)のどの物件が最適なものかは、その荷主企業の業務内容によって変わってきます。

もし、どれも同じ坪単価の賃料だとしても作業負荷はその物件によって大きく違いが出ます。

この場合、管理費などの付帯経費を除くと(4)が一番作業負荷が少なく感じられると思いますが、(3)にしても(4)にしても、1フロアー2,000坪の倉庫で在庫ロケーションをするとなると、それなりの移動距離があり、庫内設計によっては、商品の移動コストが膨大に発生する恐れがあります。

物流企業の提案による物流センターも、その構造物としての仕様や内部の設計によって大きくコストを左右します。

物流はある意味「やってみなくては判らない」的な要素が少なくないため、新規の提案を受けれいるには、最適な運営方法か否かを見極める必要があります。

縮小化経済の中で、少しでも将来のリスクを軽減するためには、現在の流体制において想定されるリスクを多く抽出し、そのリスクを回避もしくは改善し続ける方策が最も求められる荷主施策と言えます。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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