第314回 物流コンペ復活の兆し!本物3PLを見極める時が来た(2)
宅配のラストワンマイル市場において、ヤマト運輸・佐川急便・日本郵便に次ぐ「第四極」が芽生え始めています。
現在注目すべき新勢力は、
(1)アマゾンジャパンが構築する専用便
(2)家電量販店・家具量販店が手掛ける専用便
(3)地域限定の宅配ネットワーク
いずれも軽四輪車を利用した小口配送特化サービスです。
現時点では、東名阪地区の主要都市を対象エリアとした限定サービスですが、今後は大手陸運や有力地場運送会社などが、追従すると思います。
宅配のラストワンマイルにおけるバリューチェーンは以下の通りとなります。
(1)営業活動
(2)集荷
(3)幹線輸送
(4)配送
(5)再配達サービス
これら(1)~(5)のプロセスは、大手宅配会社のバリューチェーンと基本的には同じですが、大手宅配事業者にあって第四極にないものが、ひとつだけあります。
それは「高度な情報システム」です。
顧客管理や再配達無人受付システムなどは、構築するために莫大な投資を必要とします。
しかし、極度なトラックドライバー不足とネット通販の拡大基調においては、高度な情報システムが無くても、宅配の担い手として市場と社会が求めています。今後どこの勢力が勝ち残るか楽しみですね。
そして、物流費値上がりトレンドのこの時期に、どうすれば物流コンペを成功させることができるのでしょうか?
物流コンペを失敗させないコツは、いくつか想定されます。
第一に、荷主の物流状況を全て正しく開示すること。
第二に、正しい物流コンペを実行すること。
第三に、取引スキームを正しく理解してから契約すること。
第三の取引スキームを正しく理解するとは、「本物3PL事業者」を見極めることです。
荷主と物流事業者の取引関係は、利益が相反せざるを得ない関係です。
荷主の要望であるコストダウンは物流事業者にとっての売上ダウン・利益ダウンとなります。
この両者の関係を正しく理解したうえで、自社の戦略に合致した物流パートナー選びこそが、失敗しないアウトソーシングの最適解となります。
前回お伝えしました時流変換のポイントである以下5項目を十分に理解したうえで、物流会社との取引関係を構築していただければ、きっと良好なパートナーとなることでしょう。
(1)上場物流会社が荷量確保の動きに出始めた(売上成長を株主に求められる)
(2)物流不動産ファンドの新築物件が飽和状態となっている(増床100万坪)
(3)ドライバー採用が順調に進み、増員増車をしているトラック会社が台頭する
(4)マテハンの高度化及び量産化により物流センターの省人力化が可能となった
(5)社会的な働き方改革によって、既存の物流フレームに歪みが出てきた