2024年問題は過去30年で最高レベル|いま物流部門がやるべきこと

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

2024年ドライバー総残業規制対策を解説|2022年3月Funai物流オープンカレッジ

筆者はこれまで30年以上物流に携わってきましたが、今が一番の激動期であり早急な変革が企業の生き残りを試される「令和の時代」に突入したと感じてなりません。 本コラムでは、その背景と「いま荷主企業の物流部門が取り組まなければならないこと」について解説します。

2021年の物流環境を振り返る

平和な物流オペレーションが実現

2021年の国内物流環境を振り返ると、荷主企業にとって平穏無事な状況でスタートしました。コロナウイルス蔓延による総物量減少により、2017年からムーブメントとなった運賃値上げ問題は一服し、残貨問題やリードタイム遅延がほぼ発生しない平和な物流オペレーションが実現しました。

物流DXに弾みがつき、デジタル化が浸透

さらに、感染症対策の一環として、物流DX(デジタル・トランスフォーメーション)に弾みがつき、多くの業界で業務プロセスにおけるデジタル化が急速に浸透しています。

これまでの物流オペレーションは、あらゆるシーンで人が作業をする「典型的な労働集約モデル」でしたが、一気に環境変化が起き、3密回避や非接触・リモート化・ペーパーレス化など、デジタル時代に相応しい業務イノベーションによる生産性向上施策が活性化しています。

荷主企業も物流企業も、この流れに乗り遅れると生き残れなくなる可能性があり、今後もこの分野においては積極的な取り組みが不可避だと考えています。

国際物流の環境変化

一方、現在国際物流の環境はかなり厳しい局面となっています。とくにCovid-19(コロナウイルス感染症)による国際物流の影響は甚大で、国境管理や税関規制の強化・巣ごもり特需の爆発などにより過去例を見ないレベルの海上運賃高騰現象が起きています。

深刻なコンテナ不足

アジア発の北米・欧州向けコンテナ価格は約3倍から5倍以上となり、コンテナ不足による納期遅延やスペース確保競争などの問題が極めて悩ましい事象です。

世界中のコンテナの大半は米国内にあるとされ、今後米国でのワクチン接種率が高まることで、緩やかにこの事態は解消される見込みです。

くわしくは下記動画で解説していますので、興味がある方は、ぜひご視聴ください。
(ロジスティクス・オンデマンド「2022年海上コンテナ運賃大胆予測」)

荷主企業がいま取り組まなければならないこと

さて、アフターコロナの時代において、荷主企業が取り組まなければならないことは3つあります。

  1. (1)2024年4月施行のドライバー総残業時間規制の対策検討
  2. (2)脱炭素への取り組み
  3. (3)安定物流を持続させるための物流戦略再構築

それぞれ、もう少しだけくわしく解説していきます。

(1)2024年問題への対策

1つ目の2024年4月施行「ドライバーの総残業規制」は、物流企業のみならず荷主企業にとっても、その影響は甚大です。

主な懸念事項は、以下の通りです。

  1. ①運賃値上げ
  2. ②中長距離輸送のリードタイム延長
  3. ③地場ルード便、ミルクラン便の配車組み換え
  4. ④集荷締め切り時間の短縮
  5. ⑤宵積み体制の再検討

この規制による影響は「安定的な物流オペレーション体制」が崩壊するリスクを孕んでいます。まずは、自社の物流オペレーションにおいて、この問題による影響を正確に掴むことが肝要であり、決して、物流企業任せにしないことをお勧めします。

当社では、2024年問題の影響度合いを可視化する診断サービスも提供しています。ぜひ、ご活用ください。
2024年問題が自社に与える影響を可視化したい|2024年問題対応 物流リスク診断

(2)脱炭素への取り組み

次に国策ともいえる脱炭素への取り組みについてです。国内CO2排出量の7.3%が貨物輸送によるものですが、今後の企業発展のうえでは、脱炭素の取り組みは重要経営課題に位置付けられます。

社会、顧客、投資家などあらゆるステークホルダーから、脱炭素の取り組み可否やその実績についての説明を求められる時代です。

荷主企業としては、自社の物流オペレーションにおいてどれだけ脱炭素が実現できているかを問われ、委託先の物流企業と共に削減努力を行うことがESG経営の一環です。


ESG経営×ロジスティクスの実現に向けて|ESGロジスティクス導入診断・実行支援

(3)安定物流を持続させるための物流戦略再構築

最後の安定物流を持続させるための物流戦略再構築とは、上述した時流に適った物流戦略を、改めて
再構築することです。平成時代の物流戦略では将来の安定物流が維持できない「サステナビリティ・リスク」を認識し、改革を立案することが求められます。

経営幹部に正しく、激変した物流環境が伝わっている企業は少なく、まだ荷主優位の過去神話が根付いて
いるものと思われます。

物流部門の将来リスク

物流部門が主体的に自社の安定物流を計画しないことには、将来の多大なるリスクとして

  1. ①大幅値上げによる競争劣位
  2. ②輸送難民化
  3. ③物流体制崩壊

などが挙げられます。これらの懸念はけっして看過できるレベルではありません。

筆者はこれまで30年以上物流に携わってきましたが、今が一番の激動期であり早急な変革が企業の生き残りを試される令和時代に突入したと感じてなりません。

荷主企業には上記リスクに対応可能な「物流戦略」の立て直しが急務となっています。

国内物流はどのように変わるのか?国内の物流に起因するリスクとは何か?物流戦略再構築の最短ロードマップについて知りたい方は、ぜひ一度ご相談ください。

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