赤峰誠司の物流魂 2021.10.14

2024年問題は過去30年で最高レベル|いま物流部がやるべきこと(1)

今号より荷主企業向けの物流改革の手順とその方策について、全4回の連載企画を開始します。

平和な物流オペレーションが実現

今年の国内物流環境は、荷主企業にとって平穏無事な状況でスタートしました。コロナウイルス蔓延による総物量減少により、2017年からムーブメントとなった運賃値上げ問題は一服し、残貨問題やリードタイム遅延などもほぼ発生しない平和な物流オペレーションが実現できています。

物流DXに弾みがつき、デジタル化が浸透

昨年勃発した感染症対策として、物流DX(デジタル・トランスフォーメーション)に弾みがつき、各社の業務プロセスにおけるデジタル化は急速に浸透しています。これまでの物流オペレーションは、あらゆるシーンで人が作業をする典型的な労働集約モデルでした。

感染症の感染拡大によって一気に環境変化が起き、3密回避や非接触、リモート化、ペーパーレス化など、デジタル時代に相応しい業務イノベーションによる生産性向上施策が活性化しています。

荷主企業も物流企業も、この流れに乗り遅れると生き残れなくなる可能性があり、今後もこの分野においては積極的な取り組みが不可避だと筆者は考えます。

国際物流の環境変化

一方で、現在国際物流の環境はかなり厳しい局面となっています。とくにCovid-19(コロナウイルス感染症)による国際物流の影響は甚大で、国境管理や税関規制の強化・巣ごもり特需の爆発などにより過去例を見ないレベルの海上運賃高騰現象が起きています。

深刻なコンテナ不足

アジア発の北米・欧州向けコンテナ価格は約3倍から5倍以上となり、コンテナ不足による納期遅延やスペース確保競争などの問題が極めて悩ましい事象です。

世界中のコンテナの大半は米国内にあるとされ、今後米国でのワクチン接種率が高まることで、緩やかにこの事態は解消される見込みです。

荷主企業が取り組まなければならないこと

さて、ウィズコロナの時代において、荷主企業が今年やらなければならないキードライバーは3つあります。

  1. (1)2024年4月施行のドライバー総残業時間規制の対策検討
  2. (2)脱炭素への取り組み
  3. (3)安定物流を持続させるための物流戦略再構築

(1)2024年問題への対策

一つ目の2024年4月に施行されるドライバーの総残業規制は、物流会社のみならず荷主にとっても
その影響は甚大です。

主な懸念事項は、

  1. ①運賃値上げ
  2. ②中長距離輸送のリードタイム延長
  3. ③地場ルード便、ミルクラン便の配車組み換え
  4. ④集荷締め切り時間の短縮
  5. ⑤宵積み体制の再検討 など

この規制による影響は安定的な物流オペレーション体制が崩壊するリスクを孕んでいる脅威です。まずは自社の物流オペレーションにおいて、この問題による影響を正確に掴むことが肝要であり、決して物流企業任せにしないことをお勧めします。

(2)脱炭素への取り組み

次に国策ともいえる脱炭素への取り組みについてです。国内CO2排出量の7.3%が貨物輸送によるものですが、今後の企業発展のうえでは、脱炭素の取り組みは重要経営課題に位置付けられます。

社会、顧客、投資家などあらゆるステークホルダーから、脱炭素の取り組み可否やその実績についての
説明を求められる時代です。

荷主企業としては、自社の物流オペレーションにおいてどれだけ脱炭素が実現できているかを問われ、委託先の物流企業と共に削減努力を行うことがESG経営の一環です。

(3)安定物流を持続させるための物流戦略再構築

最後の安定物流を持続させるための物流戦略再構築とは、上述した時流に適った物流戦略を、改めて
再構築することです。平成時代の物流戦略では将来の安定物流が維持できない「サステナビリティ・リスク」を認識し、改革を立案することが求められます。

経営幹部に正しく、激変した物流環境が伝わっている企業は少なく、まだ荷主優位の過去神話が根付いて
いるものと思われます。

物流部門の将来リスク

物流部門が主体的に自社の安定物流を計画しないことには、将来の多大なるリスクとして

  1. ①大幅値上げによる競争劣位
  2. ②輸送難民化
  3. ③物流体制崩壊

などに対応出来なくなる懸念はけっして看過できるレベルではありません。筆者はこれまで30年以上物流に携わってきましたが、今が一番の激動期であり早急な変革が企業の生き残りを試される令和時代に突入したと感じてなりません。

おすすめ情報

7割経済時代の物流戦略

今読むべき物流時流「2021年下期やるべき事」(PDFダウンロード)

概要
物流部門が直面する3つの課題(2024年4月1日960問題への対策、脱炭素への取り組み、令和の物流戦略再構築)について解説します。
詳細
https://logiiiii.f-logi.com/documents/know-how/2021second-half-jiryu/

2024年に向けて、いま荷主企業がすべきこと(動画)

概要
「2024年」まで、あと3年を切りました。今、荷主企業がすべきこと・考えることとは?
詳細
https://school.f-logi.com/p/2024ninushi

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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