2020年物流業界時流【デジタル競争時代の幕開け】 (2)アナログ物流はもう通用しない

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

コロナウィルスの影響は大きく、日本経済全体へ深刻な事態をもたらしています。

物流業界においても、対中国物流は貨物量が大幅に激減し、復調の兆しが見えない状況です。

中国は、日本の製造業におけるサプライチェーンの大多数が複雑に絡んでいます。

工業製品の資材・部品や組み立て工程、生鮮食品、加工食品等、多種多様なプロセスが今まさに瓦解しようとしています。

物流BCPを策定している企業は少なく、今後のグローバルチェーンの在り方は、再構築が急務でしょう。

今号は2020年物流時流予測の7つのキーワードの中で、3.デジタル化対策への巧拙をお伝えします。

デジタル化対策への巧拙

従来の物流現場は、膨大な紙を使ったオペレーションが主流でした。

毎朝の入荷予定リストから始まり、現品票や入庫チェックリスト、運送送り状、ピッキングリスト、出荷検品リストに納品書等、膨大な帳票や紙類を使っています。

なかでも厄介なのは、費用や作業負担の大きい専用伝票と運送送り状です。

システムによっては、帳票レイアウトを作成するだけで数百万円(ERPパッケージなど)もコストがかかることがあります。

荷受人や運送会社とのEDI連携によるペーパーレスは、実は30年以上前から取り組まれていました。

しかし、実際の現場運用は各社対応の専門伝票で運用され、多くの無駄が日々連続しています。

今後の物流センターオペレーションは、そのほとんどの紙類は不要となり、完全ペーパーレス時代となっていきます。

物流は生き物であり、日々進化しています。

荷主物流部や3PLは、常に最適なオペレーションを実行することが求められ、外部リソースの活用はフレキシブルでないとなりません。

従来形式の紙を使った運用では、新規の購買や物流会社との連携に時間を要し、タイムリーな施策を実行することが出来ないシクミとなっています。

世の中がデジタル化時代へと突入しても、基の情報を司る基幹システムやネットワーク構造が過去形ストラクチャだと、末端にアナログプロセスが残ったままの運用となりがちです。

つまり、世界中の拠点と会計システムがリアルに繋がっている最新鋭のERPパッケージを導入しても、

物流現場のWMSやTMSとの連携に戦略的思想のないストラクチャでは、DX(デジタルトランスフォーメーション)とは言えません。

この度のコロナウィルス問題で、物流を軽視しないまでも重視はしていない企業は、大きな痛手をこうむっていることでしょう。

デジタル化革命は頭脳の部分から手足に至るまでをシームレスに繋いで、完全に情報共有化が出来ないと、末端の物流現場ではアナログ作業から脱出することは困難であると思います。

最後に、物流の最適化のコツは、第三階層に物流管理システムを置くことです。

次回以降も残りの時流キーワードについて考察します。

以上

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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