ロジスティクス・サービス・プロバイダー(LSP)は市場の段階に合わせて選択する
今回は、市場の状態に適合したロジスティクス・サービス・プロバイダー(LSP)の選定と求められる能力について考察します。
目次
物流サービスのコモディティ化と日本の市場ライフサイクル
これまでの物流業界は待機時間や多くの契約外の付帯作業を無償で提供してきました。しかし、今、2つの背景から、無償提供されていた待機時間や契約外の付帯作業の維持が困難な状態になってきています。
背景(1)人手不足・働き方改革
1つ目の背景は、人手不足・働き方改革の推進により、これらの対応が物理的に不可能になってきているためです。2024年4月1日より、いよいよ物流業界にも残業時間年間上限規制が適応されます。これに伴い待機時間や契約外の付帯作業の維持はより一層困難となる事が予測されます。
背景(2)複雑化・個別化
2つ目は、日本の多くの産業が成長期~成熟期へと移行し、ニーズが単一的なものから複雑化・個別化し、無償提供出来る域を超え始めたためです。荷主企業は市場の成熟化に伴うニーズの複雑化・個別化と平行して今後のロジスティクス課題への対応も必要になってきます。
市場の課題
市場成長期はニーズが単一的で製品を流通させさえすれば売ることができます。そのため、いかに1つでも多くの製品を流通させるかが、Key Success Factor(KSF)でした。しかし、成熟期のニーズは複雑化・個別化し、売りづらい、売れにくい環境へと変化します。当然、KSFも細分化した顧客のニーズを捉え、満たす事へと変化していきます。
ロジスティクス業界における課題
荷主企業はこうした市場変化に対応し、近年の「人手不足」や、ドライバー不足からくる「運賃値上げ」、働き方改革の更なる推進「2024年の残業時間年間上限規制」といった、以前にも増して複雑な物流面の課題にも的確な対応が出来なければ、製品の供給自体に支障をきたす恐れが出てきます。
ロジスティクス・サービス・プロバイダーの種類とコアコンピタンス
市場の段階によりニーズやKSFに変化が起こるのと同様に、ロジスティクス・サービス・プロバイダーも市場の段階に合わせて適切に選定していく必要があります。ロジスティクス・サービス・プロバイダーは大きく3つに分類する事が出来ます。
1.ロジスティクス・サービス・キャリア
実際にアセットを保有し自社の能力のみで市場に製品を流通させる実行力が武器となり、市場の導入期に非常に大きな力を発揮します。荷主企業側のメリットとしては、指示系統が行き渡りやすい。その反面機動力は限られています。
2.アウトソーシング・ロジスティクス・サービス・プロバイダー
市場成長期の様に1つでも多くの製品の流通が求められるタイミングで力を発揮します。アセット保有の実行力に加え、関係力(リレーション)によるパートナー企業も活用し、導入期以上の大きな規模で製品を動かす力が特徴となります。荷主企業側のメリットとしては、機動力が大きく手配が容易です。その反面、三次請け、四次請けと実輸送までの階層が増える為、指示系統が伝わりにくくなりサービス品質の低下という弊害もあります。現在、最も一般的なプロバイダーの形態ではないでしょうか。
3.ロジスティクス・サービス・インテグレーター
これまでにご紹介した2つのプロバイダーの弱みを克服するべく、形態に捕らわれない製品流通の実行力を持ち、様々な業種、業界、業態の情報(ナレッジ)を保有し、内容に合わせた柔軟性が武器となります。荷主企業側のメリットは、多種多用な情報(ナレッジ)から時流に沿った自社に最適な物流網の提案を受けられる点となります。市場の成熟期には、細分化した顧客ニーズへ対応する事で必然的に荷主企業は事業の守備範囲が広くなります。この為、様々な立場の情報・知見(ナレッジ)を保持し、荷主企業と一緒に複雑な課題に向き合い解決出来る力がロジスティクス・サービス・プロバイダーに求められます。
中立でしがらみのない独立系の強み
当社は中立でしがらみのない独立系物流コンサルティング会社で、これまで数々のロジスティクス課題を解決してきた実績を有しております。また、グループ全体で多数の荷主企業、運送会社への支援を通じ、様々な業種・業界・業態の多面的な情報・知見(ナレッジ)をデータベースとして保有しております。
今回、ご紹介したロジスティクス・サービス・インテグレーターを目指し、機能を拡充しております。こうしたデータベースを活用し、荷主企業の製品特性と市場の段階に合わせたかたちで、ノンアセット型3PLというビジネスモデルで、物流マッチング、共同配送、サンプリング物流など様々なサービスを展開しております。
日本の産業の多くが成熟期に入っている中で、自社の製品ライフサイクルを理解し、製品特性と市場の段階にあった最適な運送サービスを選定したい。または、来る2024年の残業時間年間上限規制により製品の流通が維持できるか不安がある場合は、ぜひ当社に相談いただけると幸いです。
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