物流部が知っておくべきノウハウ・事例 2020.11.17

輸配送コスト削減事例 営業と物流の一体化戦略で輸配送コストを削減

未だ収束の様相を呈さないコロナ禍の影響で売上が減少し、その中でも一定の利益額を確保する為の方策の一環として、物流の体制及び運営の見直しによる物流経費の抑制または削減を検討している企業は多いと思います。
今回はそんな企業に役立つ物流経費の抑制・削減に有効な手法をお伝え致します。

一般的な物流経費は(1)輸配送費(2)保管費(3)荷役費(4)物流管理人件費の要素で構成され、この内の約60%は輸配送費が占める事が多いと言われます。
本記事では、この輸配送費について特に着目します。

輸配送コスト削減には下記の2点が有効なポイントとなります。

(1)車両の積載効率・稼働効率の向上

原則として車両積載効率は8割以上とする事を目標としましょう。
自社配送の場合も、外部委託の場合も、積載効率及び稼働効率と輸配送コストは相関関係にあります。
そして、実際の運行や納品は自社配送部門もしくは物流事業者の領分ですが、積載効率・稼働効率の向上は配送部門や物流事業者の努力のみでは不可能です。

荷主企業の経営層や販売部門が物流効率化の観点を持ち、納品先の顧客との納品条件などを取り決める等の取り組みが必要となります。
(1)経営層、販売部門が、計画的で規則的な運行が出来る輸配送サービス構築の為の取り決めを行う。
(2)配送部門、物流事業者が効率的に商品を輸送出来る様に積載効率の高い輸送を実施する。
この2段階の手順で、輸配送費用の削減及び物流サービスの安定供給が可能となるのではないでしょうか。

(2)納品条件を標準化する必要性

納品時の付帯作業は輸配送費用高騰に繋がる要因の一つです。
付帯作業は、その作業が有効な作業であるかをまず検証する必要があります。
ここで言う「有効」とは自社の販売戦略における顧客満足度へと繋がる輸配送サービスに結びついているか、という点となります。
最終的な顧客満足度に繋がらない過剰なサービスである場合は、余分な費用を削減するため、納品条件は極力シンプルに設定しましょう。

また、納品条件が標準化されていない荷主企業には費用面以外にも、以下の様なデメリットも考えられます。
・慣れたドライバーしか対応が行えず、ドライバー毎に品質が異なる為、物流品質が担保されづらい
・物流事業者から値上げ要請を受けた際などに、代替となる物流事業者の選択肢が狭まる為、切り替え検討がし辛い

ここで、実際に物流改革で効率的な配送網を構築し、業界でも驚かれる費用削減に成功した製造企業の事例をご紹介致します。
その企業では上記の2点に対して以下の様な対応を実施されています。

輸配送コスト削減事例

この企業は、かつて顧客満足度を高めるために、顧客要望に沿う納品対応をする配送網を構築していましたが、売上・取引継続率が伸び悩んでいました。
顧客満足度を優先しているならば、継続率は伸長していなければなりません。

その状況を打開する為、会社の方針を思い切って変更し、戦略的なロジスティクス構想を主軸としたスタイルへと転換しました。
その施策の一つが、納品時間帯の制約の抜本的な見直しです。

それまでは顧客の要望通りに細かな時間指定対応を行っていましたが、これを(1)早朝便(2)午前便(3)午後便の3パターンのみの対応へと設定しました。
これによって、安価で効率的な輸送体制の構築が可能となりました。

更に、積載率8割以下の配送コース作成や、配送効率悪化に繋がる少量納品は基本的に行わないという体制を徹底しています。
※営業戦略上どうしても必要な場合は、小口配送便を活用し、コストが把握出来る状態で暫定的に対応

上述の施策による営業と物流の一体化戦略により、こちらの企業は同業他社と比較して、売上対物流費用比率を低く抑えられています(業界基準の50%程度の物流経費)。
さらに取り組みの実施前に比べて売上水準が低下する事もなく、むしろ年々成長をされています。
全て踏襲する事は出来なくても、要点を模倣して活用する事は可能な非常に良い事例ではないでしょうか。

今回は輸配送コスト削減の方法を、事例を交えて記述しました。
しかし、実際に物流改革を行う際に、全国に拠点を持つ企業の場合、拠点ごとの輸配送体制の実態を把握するだけで相当な時間が必要です。
上述の事例企業も、物流統括専属部署を設けて改革に着手しましたが、営業部門と連携した現在の体制の安定運用で効果を出すまでに約3年を要しました。

自社で物流部を持つ企業ならば、改革への着手は可能ですが、期待していた効果が出ていないと感じたら、費用対効果を検証しつつ、自社の不得手部分は外部リソースを活用する(アウトソースする)事を検討しましょう。
高付加価値な物流パートナーの存在は、改革の効率化を可能にします。
自社のみで行うよりも効率的に改革の推進が出来ます。

また、自社のみでは配送網を構築する物量が不足する企業は、共同輸送・共同配送などを活用する事で、物流経費削減にアプローチが可能です。
 
まずは自社の規模・物量・営業戦略に合わせた最適な物流戦略を策定する事に比重をおきましょう。
 
戦略策定には正確で多くのデータが不可欠です。
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Pen Iconこの記事の執筆者

玉山 千登

船井総研ロジ株式会社

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