EC事業のメリットとデメリット

Pen Iconこの記事の執筆者

木村 健人

船井総研ロジ株式会社
DXL推進グループ

≫製造・卸・小売業向けコンサルティングについて、くわしく知りたい方はコチラ

コロナを経て大きく市場が拡大したEC(電子商取引)業界。広く浸透してきている現在、膨大な数のECサイトから実際に購入する商品を選択することが可能です。

ECサイト運営において、商品の販売だけでなく、その後の配送や在庫管理も非常に重要な役割を果たします。物流の効率化と最適化が、ECビジネスの成功に直結する要素であることを理解することが求められます。

そこで今回はECサイトにて販売することのメリット、デメリットはどこにあるのか、実店舗での販売形式とも一部比較しながら改めて解説していきます。

  • 船井総研ロジでは物流戦略策定、倉庫業務改善、コスト抑制、システム導入など荷主企業(製造・卸・小売業)のロジスティクス最適化をサポートします。
  • ≫ 物流コンサルティングの詳細を見る

地理的制約がないECサイトを運用するメリット

1.全国や世界中に顧客を拡大することが可能

実店舗では出展したい立地を決定し、その店が移動範囲内にある消費者をメインターゲットとして販促します。一方ECサイトでは、ページに呼び込むことが出来れば立地等に縛られることなく全国の消費者に対し販促が可能です。

2.24時間365日ショッピングが可能な為、顧客のニーズに柔軟に対応することができる

複数の配送業者との提携や、地域ごとの配送センターの設置を検討することで、配送コストの削減とリードタイムの短縮が可能です。また、ラストマイル配送の効率化も重要です。配送ロボットやドローンの導入、コンビニ受け取りサービスの提供など、顧客の利便性を高める取り組みが求められます。

3.購買履歴や行動データを分析し、マーケティング施策を展開し効率的な販促活動が可能

ポイントカードなどの運用が無い場合、実店舗では消費者のデータを蓄えることが困難ですが、ECサイトの場合、購入時に記載する様々な項目より年齢層やその他の購入履歴、購入地域の特定などが容易に行えます。さらに、物流データを活用することで、発送拠点の最適化や配送ルートの効率化が図れます。これにより、物流コストの削減と顧客満足度の向上が期待できます。

4.人件費、在庫管理や配送費用によるコスト削減

実店舗にて全国販売する場合、売り上げに関わらず各店舗に一定数の販売員の配置が必要となります。ECサイトでの運用では必要なスタッフが発送拠点に集約されるため常に物量に合わせた最適な人員配置が可能となります。また、上記③にて記載した各データを活用すれば在庫にかかるコストの最適化や、配達コストの最適化なども可能です。

≫【関連資料】「ポスト2024の物流戦略」を無料でダウンロードする(無料)

競合ひしめくECサイトで注意するべきポイント

1.独自のマーケティング戦略やブランディングが求められる

一般的に認知度の高い大手ECモール店舗だけでもその数は160万店舗ほどあると言われています。そんなEC業界で、安定的な売り上げを出す場合、ページの構成や広告の打ち出し方、ターゲット選定に関するマーケティングなど、他店舗と差別化を図る為の専門的な知識を持った人材を確保しないと埋もれていき難航するでしょう。

2.オンラインのセキュリティリスクや不正アクセスの可能性

ECの特性上、消費者へ確実にお届けする為に詳細で膨大な数の個人情報を管理する必要が出てきます。万が一にも情報漏洩が起きないよう社内のマニュアル管理を徹底する他、不正アクセスによるデータの抜き取りにも対応すべくサイバーセキュリティ対策などが必要になってきます。

3.消費者へ正確な情報を伝えることが難しく、返品やクレームのリスクも大きくなりやすい

実店舗では実際に手にしたもの(自らの目で確認した在庫)を購入可能ですが、ECサイトの場合は手に届くまでは品質の保証がされません。実際に手に届いた時点で傷の確認や破損の認識、そもそも注文した商品と合致しているのかなどの確認がされる為、消費者は購入前に商品自体のエラーに気が付くことが出来ないのです。

そのため、返品リスクやクレームに繋がる可能性が実店舗より高い傾向にあります。しかし、効果的な物流管理を行うことで、返品プロセスを迅速かつ効率的に対応できる体制を整え、顧客満足度を向上させることが可能です。

おわりに

ECサイトの利点として、地理的な制約を超えた顧客拡大が可能であり、24時間365日のショッピングが可能なことにより顧客のニーズに柔軟に対応できます。加えて、購買履歴や行動データを分析し、効率的なマーケティング活動が可能であり、人件費や在庫管理・配送費用によるコスト削減も期待できます。

一方で、ECサイトのデメリットとして、激しい競争状況での独自のマーケティング戦略やブランディングの重要性、オンラインセキュリティリスクや不正アクセスの可能性、実物の商品に触れられないことによる返品やクレームのリスクが挙げられます。

次回は、これらのデメリットに対して物流面からアプローチできる顧客満足度向上の施策について具体的に解説し、当社が提供する物流サービスがどのように役立つかを紹介します。

参考文献

【2023年最新版】国内のECサイト・ネットショップの総稼働店店舗
https://ecclab.empowershop.co.jp/archives/80408

  • 船井総研ロジでは物流戦略策定、倉庫業務改善、コスト抑制、システム導入など荷主企業(製造・卸・小売業)のロジスティクス最適化をサポートします。
  • ≫ 物流コンサルティングの詳細を見る

Pen Iconこの記事の執筆者

木村 健人

船井総研ロジ株式会社
DXL推進グループ

≫製造・卸・小売業向けコンサルティングについて、くわしく知りたい方はコチラ

その他の記事を読むArrow Icon

ページの先頭へ