構築・運用の考え方

船井総研ロジ

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物流コンサルの船井総研ロジ

   
国内最大級の物流コンサルティングファーム。物流・ロジスティクス領域において、戦略・戦術の策定から実行までを一貫してサポートする日本最大級の総合物流コンサルティング企業です。

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WEBマーケティングの現場では、

・全体戦略が欠如している
・WEBで計測される数値の基準値がわからない
・サービスのお問合せや求職者からの応募に至るための適切なPDCAを回せていない
・管理項目やKPIが増えすぎて「分析疲れ」や「データの意味づけ」まで実行できていない
・コンテンツ(掲載内容)を継続して更新するネタとリソースがない

といった課題が多くのWEB担当者から聞こえてきます。

一方で、3PL企業や物流子会社では、

「随分前に作成したホームページがあるけれども、最終更新日が3年ぐらい前」
「ホームページがスマホで見づらい」
「そもそも社内にだれも詳しい人がいない」
「結局ホームページってしっかりやる意味あるの?」

という声があるように、まだまだWEBマーケティングを実行に移す前段階のステージにいる企業様が多いのが現状です。

そこで本稿では、WEBマーケティング実行の前段階として、

・そもそもホームページの役割は?
・物流企業がホームページを構築する意義
・絶対に押さえておくべきホームページ構築時の3つのポイント
・そもそもページの運用とは?

これら4つのポイントを整理していきます。

1.そもそもホームページの役割は?

人間は基本的に「失敗したくない」と思っているので、人は何らかの行動を起こすとき、その背景となる情報を基にできるだけ「安心」して行動しようとします。

例えば、「今日はハンバーガーを食べよう」と考えている人は、次にどんな考えに至るでしょうか?

・ここから近いハンバーガーのお店は?距離は?
・営業時間は?
・メニューは?価格は?こだわりは?
・他の人の評価は?

こんな情報を「知りたい」と思うはずです。
知りたいと思ったら、次はその情報を「検索」して情報の獲得に動きます。
情報を獲得したら、その情報を「評価」して「安心」します。
ハンバーガーのケースでいうと「このハンバーガー屋はよさそう」ですね。

これら行動を喚起する一連の情報の「検索したい」「評価したい」「安心したい」という人間心理を満たすうえで活躍するのが検索エンジンと、インターネット上に存在するホームページです。

検索エンジンとは、GoogleやYahooなどの、知りたい情報の質問(キーワード)を検索窓に入れると、答えの候補を教えてくれる場所です。
上記の例でいえば、「君が知りたいハンバーガー屋はこれじゃない?」と教えてくれる便利な機械にあたります。

一方で、ホームページの機能は、「情報をしきつめた箱」です。
『ユーザーが「知りたい!」と思う質問の答えを的確に反映すること』
これがホームページの役割です。

検索エンジンでは、ユーザーの質問にきちんとした候補を反映するために、世の中のホームページをまとめて解析する機能を持っています。
よってホームページが迷子にならないためには、

(1)検索エンジンに好まれるページ設定を行う
(2)質問に対する明確な答えに、すぐにたどり着ける構造と内容にする

この2つが特に重要になります。

2.物流企業がホームページを構築する意義

先ほどホームページの役割は、『ユーザーが「知りたい!」と思う質問の答えを的確に反映すること』とお伝えしました。

物流企業にとってのユーザー、つまり荷主企業が、自社に関わる情報を検索エンジン上で探しているのであれば、そこに合わせてホームページを構築する必要があります。

では荷主企業から物流企業へ、ユーザーとしての質問・疑問は、どのようなものがあるでしょうか。
考えられる一例としては、

・長尺物を輸送できる運送会社を知りたい
・福岡県にある危険物倉庫を知りたい
・見積りを取りたいが、対応できそうな物流会社を知りたい
・委託する物流会社が(荷主の)業界と商品にノウハウを持っているのか知りたい

このような質問・疑問を適切に解消することで、ユーザーの自社に対する興味関心・信頼性はグッと高まります。

自社に対する興味関心・信頼性が高まることで、既存の取引先はもちろんのこと、全く接点のなかった企業への効率的なアプローチ(新規開拓)や、時間と場所を選ばずに全国の企業に対して自社の魅力を発信することが可能になります。

その意味で、ホームページは365日、どこでも自社の紹介やイメージアップをしてくれる「営業マン」、もしくは「宣伝担当者」として活躍させることで、生身の人間だけでは到底実現し得ないメリットをもたらしてくれます。

逆に、質問や疑問が解消されない中では、興味関心度合いは高まりませんし、 「この会社大丈夫か?」とユーザーが離反してしまう可能性すらあります。
当然、効率的な新規顧客獲得や全国を対象とした自社ブランド力向上も上手くいきません。

また、求職者がネットを使って採用関連情報を収集することが当たり前の時代になってきました。
自分が選考を受けようとしている会社については、

・この会社は自分に合っていそうか
・この会社の待遇で自分がいい生活ができそうか
・この会社はどんなところで、どんな仕事をしていて、どう社会の役に立っているか
・この会社で自分がどう成長できるか

このようなことを知りたくて「確認」するために、求職者はホームページを覗きにきます。
採用難の時代にあって、求職者を惹きつけられるか、逆に不安を増長させてしまうかは、ホームページの作りこみ次第で結果は大きく変わってきます。

ユーザーや求職者への惹きつけ、企業イメージの構築、新規顧客の獲得、ひいては信頼関係の構築という意味で、物流企業がホームページをきちんと整備することの意義があります。

3.絶対に押さえておくべきホームページ構築時の3つのポイント

ホームページのそもそもの役割と、物流企業がホームページを構築する意義についてお伝えしてきました。
「ホームページをしっかり整備しなければいけないことは分かったが、どういった点に注意してつくればいいのか」という疑問が当然上がってくると思います。

細かい設定やポイントを挙げていればきりがありませんので、以下では基本中の基本である3つのポイント
(1)レスポンシブデザイン
(2)SSL化
(3)ファーストビュー
に的を絞ってお伝えしていきます。

ホームページの役割が『ユーザーが「知りたい!」と思う質問の答えを的確に反映すること』である以上、ユーザーが快適にその答えにたどり着けることが最も優先されるべきポイントになります。

(1)「レスポンシブ(スマホ/モバイル対応)デザイン」

デスクトップ(PC画面)でどのように表示されるか、という点ももちろん大切ですが、スマートフォンによる閲覧ユーザーが増えている昨今にあって、スマートフォン/モバイルに最適化されたページ設計をすることが、ユーザーにとってのメリットになります。
検索エンジンのGoogleは、このユーザーの使い勝手を非常に重要視しており、逆にスマホで上手く見ることができないページは検索順位(検索したときに表示される順番)を下げるといった考え方を持っています。

スマートフォン/モバイルに最適化されたページというものは、簡単にいえば、「いちいちページを拡大しなくても閲覧できるページ」のことを指します。
スマートフォンは縦長で、PC画面とは作りが異なるため、スマートフォンでデスクトップデザインページを見ると、どうしても小さく表示されてしまいます。

構築の際には、スマートフォンでどのように表示されるかは、細かく見ておくことが大切です。
PC画面でスマートフォンでどのように表示されるのかを確認するためには、Chromeで当該ページを閲覧した状態で、「F12ボタン」を押して確認してみましょう。

(2)「SSL化」

インターネットの進展と合わせて増えてきているのが、インターネット上での犯罪です。
具体的には悪意ある改ざんや、IDやパスワード、クレジットカード情報といった個人情報の抜き取りになります。
自社のページが不当に改ざんされたり、自社のユーザーの個人情報が漏洩したときの影響は言うまでもありません。

これらを防ぐ手段の1つに、「ホームページのSSL化」があります。
詳しい機能や仕組みの説明は省きますが、要は「よその人に見られないようにするためにホームページの通信を暗号化する」という理解で大丈夫です。

ChromeではこのSSL化が未対応のページについては、「保護されていない通信」という警告表示がされるようになっており、今後閲覧制限がかけられる可能性もあります。
ユーザー保護はもちろんのこと、自社ブランドの保護のためにもSSL化については早急に対応しましょう。

自社のページが対応しているかどうかについては、ページURLの頭が「https://~」になっているかどうか、またChromeで閲覧した際にURLの冒頭に「保護されていない通信」という表示の有無で確認できます。

(3)「ファーストビュー」

「ファーストビュー」とは、一番初めに表示された画面のことを指します。

ユーザーの行動は、「興味関心」→「疑問」→「検索」→「ページ訪問」の順に起こるとざっくり説明してきましたとおり、基本的にユーザーはインターネット上で答えを探していて、その上でホームページにやってきます。

その際、一番初めに表示された「ファーストビュー」を見て、「ここに自分の求める答えはなさそうだ」と判断すると、その瞬間ユーザーは別の企業ページに答えを探しに行ってしまいます。
このような理由から、ホームページ構築の上では、PCやスマートフォンで一番初めに表示される画面には、特にこだわるべきです。

ファーストビューには、
・ユーザーの求める答えを一言で表すキャッチコピーとイメージ
・答えに最速でたどり着くためのグローバルナビゲーション(上に表示されているカテゴリーメニューのことです)
・資料請求やお問合せボタン(バナー)
が一度に確認でき、かつわかりやすい配置とデザインになっているのかをきちんと検証しましょう。

4.そもそもページの運用とは?

ホームページの課題あるあるの最たるものに、「ホームページ作りっぱなし問題」があります。

なぜホームページの作りっぱなしが問題なのかというと、ユーザーが知りたいと思う情報やデザインは、時の流れとともに少しずつ変化しているからであるといえます。

一般的に、検索者が調べるキーワードは、半年ごとに20%が入れ替わっていると言われており、また繁忙期や気候などによっても大きく変動していく中で、ユーザーの求める情報を反映するためのホームページがそのまま放置されていれば、時流から取り残されてあまり役に立たないものになる可能性があります。

その意味で、ホームページは生鮮食品と同じく、鮮度が重要な生ものであるといえます。
食品の場合、鮮度を保つためには、最適な産地を選んだり、温度を測ったり、最適な当てる光の強さを測ったりとなどと、データを採って、そのデータに基づいて一番良い状態で陳列できるように改善を行います。

ホームページも全く同じで、ページの目的に応じて改善ポイントを決め、データを蓄積し、そのデータを分析し、改善/必要とあれば追加を行うことを繰り返します。
これが基本的なホームページの運用の流れになります。

データの抽出には、無料で使えるGoogle Analyticsという解析ツールが大変便利です。

以上4点がWEBマーケティングを行う上での基本的なポイントになります。
ホームページは顧客との接点づくりのための1要素ですが、より質の高い物流企業へとランクアップしていくために、戦略的に活用していくことを強くおすすめします。

船井総研ロジ

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