宅配で女性が活躍する企業インタビュー ラストワンマイル ダイバーシティ編

船井総研ロジ

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船井総研ロジ株式会社

はじめに

株式会社国際トランスサービス 曽我さん(左)長岡さん(右)

今回は株式会社国際トランスサービスの女性ドライバーである曽我様・長岡様へのインタビューです。同社は人財戦略に長けており、着実に成長しながら常に社員が楽しめる職場づくりを行っています。また、働きやすい環境を整えると共に、積極的に女性ドライバーの採用に取り組んでいます。その中で本日は同社の宅配事業で活躍されている女性ドライバーの曽我様・長岡様お二人に、女性目線かつ現場目線で現状と今後の宅配業界についてお話を伺いました。

 

ドライバーとしての心構えときっかけ

趣味を仕事に活かしたことで宅配と出会う
-そもそもどういったことがきっかけでドライバーを始めたのですか?

<曽我さん>
自分の趣味を仕事に活かしたいと思ったのがきっかけでした。私の場合、前職は調理師でしたが調理業界から離れたいという気持ちが大きくなってきており、何か別のことがしたいと考えていました。そこで、車の運転が好きだったので軽い荷物を中心に運ぶことのできる宅配業務を選びました。ですので、運転自体を苦に思うことは無いですね。

第2の人生における就職先で・・・最も稼げる
-そもそもどういったことがきっかけでドライバーを始めたのですか?

<長岡さん>
この年齢からでも稼げる仕事、としてこの仕事を知ったのがきっかけでした。私の場合は還暦が数年先に見えてきています。そうなるとまとまった収入が得られる職種は自然と限られてきており、その中で宅配は稼げる業種という意味ですごく魅力がありました。あと、会社の厚意で自宅付近の勤務地に配属させてもらったのは有難かったですね。

100件配達のコツとやりがい

100件/日は当たり前のレベル
-1日何件程度の配達を行っていますか?

<曽我さん>
私の場合、対面配達で通常日でも100件を超えます。とは言っても、100件以上配達できるようになったのは最近です。自分自身が正社員であり、責任感を持つ必要があることから毎日全力で配っています。入社して1年が経ちますので、任される量が増えたということもあります。正社員の場合はオーナードライバーとは異なり、配達数量は決まっていますので、再配達があれば多少の残業は有りますし、上手く配達が終われば定時に退社することができます。集合住宅は宅配ボックスもあるので非常にありがたいですね。誰でもできる仕事になってきていると思います。

開始2か月目で70~80件/日を達成しました
-1日何件程度の配達を行っていますか?

<長岡さん>
最終的な目標は曽我さんのように100件と言われています。でも今は、新人なので多くて80件程度、少ない時には70件程度ですね。新人でもベテランでも配達件数はエリアの需要量によっても変わると思いますので、あくまで1エリアの参考数字だと思います。

笑顔は自然に出てしまいます
-宅配業務を行うにあたり、常に心がけている面はありますか?

<曽我さん>
笑顔はいつも心掛けているというか、もう自然に出ていますね。あと、マナー的な面ではインターフォンを押したら必ず第1声で「おはようございます」と挨拶をするように心掛けています。それが当然かなと思ってやっています。  後は、一言必ず配達先のお客様と会話をしています。お子さんや飼っている犬がいたりすると触ったり話しかけたりします。そうするとお子さんが「お仕事頑張ってね」とか言ってくれるので凄く嬉しいですし、自分自身も頑張れますね。

宅配のコツはOJTで学びました
-宅配業務で多く配達するためコツは自分で思いついたものですか?

<曽我さん>
集合住宅の時はまとめてインターフォンで応答を確認し、その住宅地の住人の不在を予め把握しています。 「順番に回ります」と伝えて、そこからいらっしゃる方だけに効率的に荷物をお渡しするようにしています。受け取り手のお客様が協力的で非常に有難く感じています。そして最後に不在分は宅配ボックスに入れておきます。この方法は最初に教わった先輩に教えて頂きました。

女性ドライバーとしてのメリット・今後求められる働き方

女性のお客様に安心してもらえる
-自身が女性ドライバーとしてメリットを感じることは何かありますか?

<長岡さん>
男性ですと夜に配達する場合にドアを開けてもらえないことがあると聞きます。ですので、帽子を被って宅配業者だと分かるようにするなど工夫して配達している男性ドライバーが多いようです。そこは女性の場合比較的安心してもらえるのでメリットかもしれません。それから、なるべく無いように心がけていますが、渋滞等で数分遅れた時もお客様は笑って許してくれることですかね。後は、ダイエットにもいいですしボケ防止にもなると感じています(笑)。運搬時は階段の上り下り含め、非常にいい運動になっていてこの仕事を始めてから体重も落ちました。

<曽我さん>
お風呂上りに出てくる女性なんかですと「ドライバーが女性で良かった」と言われることが多いです。後、私もお客様に怒られたことが無いですね。皆さん優しくしてくれます。

階段と時間指定は一苦労
-配達面で苦労していることは何ですか?

<曽我さん>
エレベーターが無い集合住宅で4階、5階への立て続けの配達はかなり大変です。不在ですと自分が担当している地域なので、またいかなければならないという部分がありますし。

<長岡さん>
時間指定の住所によっては、ルートが非効率になってしまうこともしばしばあります。時間指定だけ先に周らず、毎朝上手く組み込むようにしています。時間指定がもう少し緩和されれば、働き方もより良くなると感じています。後、宅配ボックスを設置して下さる方もいて有難いのですが、その宅配ボックスがいっぱいになって使えないと切ないですね。

休憩中に寝られない・・・
-女性だからこそドライバーとして苦労する面はありますか?

<曽我さん>
男性の場合はちょっとした休憩時間でどこでも寝られる方が多いですが、殆どの女性の場合それができないと思います。駐車場に車両を停めて「よし寝よう」というのは抵抗がありますね。

<長岡さん>
コンビニでお昼ご飯を食べて休憩を取ろうとしても20分以上の駐車ご遠慮願いますと記載された看板が出ていたりして、お昼休憩場所の確保が難しいですね。木が生い茂っている日陰を探しますが、そういうところは人気で既に埋まっています・・・。今でも休憩の時間は、リラックスしたいけど中々人目が気になってできない部分がありますので、目隠し用のアルミシートなどが支給されればうれしいですね。

家庭事情に合わせた働き方ができれば、より女性ドライバーは増える
-宅配業務において、どういった働き方であれば女性が活躍しやすくなると思いますか?

<長岡さん>
業界全体で勤務時間を午前の便と午後の便に切り分けることが出来ればいいのかなと思います。例えば、倉庫へ集荷にいく時間が午後は14時半~17時半頃ですので、夜働く人は13時頃に出社して18時退社、朝働く人は7時に出勤して引継ぎをして13時退社というのも女性を増やす一つ手だと感じています。更に、勤務時間を12時~17時までなど子供を送り出してから夕飯を作るまでのシフトがあれば、一日フルで働かなくても済むため働き方が緩和されるのかなと思います。最近は私の担当地域周辺の他社でも若い女性ドライバーを見かけることが多いので、女性ドライバーの数は増えてきていると感じます。

<曽我さん>
日常的に家事で忙しい方ですと、正直まだまだ着手はしづらい業界だと思います。でも働き方が柔軟になり始めているので、私も今後は増えていくと思います。

配達に集中しながらも必ずお客様とコミュニケーションをとる
-1日の最大数を増やしたり不在配達を抑制したりするために工夫していることはありますか?

<曽我さん>
とにかく集中して一個ずつこなしていくしかないなと思っています。朝の時点で頭の中でルートを決め、カーナビには頼らず地図と経験で配達しています。こちらの方がカーナビより効率的だと感じています。ただ、1年経った今でも、毎日プレッシャーとの戦いです。そこもやりがいなのかもしれませんが。
不在については自分でお客様毎に情報を覚えている面もあります。また、お客様からも「夜しかいないからね」と頂いたりします。それは男性女性関係なく教えて頂いています。不在が続いているお客さんと会った際に「やっと会えました」と言ったら、次からは満面の笑みで迎えてくれるようになったこともあります。その時はさらにやりがいを感じますね。こちらが笑顔で対応することでお客様も笑顔を返してくださるので常に笑顔を心掛けています。

<長岡さん>
私もコミュニケーションを取るようにしています。小さいお子さんを見ると、私は子育てが終わった人間なので「この時が1番いい時だね」とお母さんと会話することがあります。 後は不在を防ぐために、先輩達が置き配ノートをつくってくださっている点があります。私は基本的に団地周辺を担当しているのですが、そのノートには「〇〇様は置き配OK」等と書いてあります。先輩達がそのようなものを用意して下さっており、社内全体が協力的で本当に有り難いです。

物流ならではの働き方改革が必至。地域担当者を複数にし柔軟性を!
-宅配の人材不足について懸念事項は有りますか?

作業時の姿

<長岡さん>
応募者を増やすためには宅配業務内容とシフトに柔軟性を持たせる必要があると思います。1地域に対して1担当者では無く、1日の間に複数の引継ぎ相手を作るということです。時間を分担する働き方にも、多くを稼ぎたい人と普通のパート感覚の人との目的、働く時間、労働量を上手く調整できれば更に多様な応募者が増えるのではないかと思います。現場にいると9時~17時の勤務体系の中で定時にあがってもアフターフォローができる体制にその会社があることも今後は必要だと感じますし、隙間時間で働きたい人を組み込んで、フルタイムで働いている人の労働量を減らす方向にしなければならないと思います。
他社を見ていても男女の関係なく、すぐにやめてしまう人もいます。でも、もう少し体に優しくなれば続けられるのではないかと思います。
さらに交通安全含めて考えるならば、私たちにとって1番大事なのは事故を起こさない環境です。体と心にやさしい働き方体制に業界全体で変えていければ幸いです。


取材後記

インタビューでお二方からお話を聞いていく中で、生き生きと仕事をされていることはもちろんのこと特に印象に残ったのが地域密着型の親しみやすいドライバーになられている部分でした。忙しい中でも受け手のお客様とドライバーが「会話」することは、簡単なようで実は難しいものです。お二方のパワフルさと優しさ、そして気遣いは今後の働き方や女性ドライバーとしてのやりがいを体現されていると感じました。国際トランスサービス様は今後も女性ドライバーを積極的に増やしていくとのことで、今後の更なるご活躍が非常に楽しみです。

今回取材させていただいた企業

船井総研ロジ

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