経営者に役立つ物流の奥義 2020.11.25

越境ECを始める際の留意点

越境ECの市場規模

 経済産業省が発表した「令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業」によると世界の越境EC市場規模は、2020年度で9,123億USドル(約100兆)になると推計されております(1ドル=105円で計算)。

日本国内BtoCにおけるEC市場規模が2019年度で19兆3,609億円ですから単純比較すると5倍以上越境ECの市場規模が大きいという事になります。

オンラインショップ利用のためのデバイスや通信環境が整備されたことや決済、言語の多様化などによりEC利用自体が活発化しておりますので、今後市場の規模は、国内EC市場よりも益々拡大していくものと思われます。

前述の通り、日本国内市場よりもはるかに市場規模が大きい市場を狙うことで、新規顧客獲得による売上拡大、販路拡大も可能になりますが、日本国内で販売が完結するビジネスモデルではない為、商品供給側(荷主企業)として事前に押さえておいて頂きたいポイントについてお伝えしたいと思います。

ポイント1:事業モデルの選択

 越境ECにおいては、以下の表で示す通り6つの事業モデルが存在します。

(1) 国内自社サイト

日本国内に越境 EC の自社サイトを構える事業モデル。元々日本語で提供している自社 EC サイトを多言語化することで、越境 EC に対応するケース。配送は EMS 等による直送が主となる。

(2)国内 EC モール等出店(出品)

日本国内で越境 EC に対応したモール等へ出店(出品)する事業モデル。国内消費者を対象とした出店(出品)の延長線として海外の消費者に向けて販売。配送は EMS 等による直送。転送サービスの活用もあり。

(3)相手国 EC モール等出店(出品)

相手国の EC モールや EC サイトに出店(出品)する事業モデル。出店(出品)に際しては、EC モール、EC サイト運営事業との交渉が発生するため、専用の代行会社によるサポートを得るケースが多い。

(4)保税区活用型出店(出品)

保税区に指定された域内の倉庫に予め商品を輸送しておき、受注後保税倉庫から配送する事業モデル。中国向け越境EC でよく活用されている。相手国からの発送であるため、直送と比較し配送期間が短くて済むメリットがある。

(5)一般貿易型EC販売

一般貿易同様に、国内の輸出者と相手国の側輸入者との間で貿易手続きを行い、相手国側の EC モールや EC サイトで商品を販売する事業モデル。一般的な BtoB 型貿易において販売チャネルとして EC を活用するスタイル。

(6)相手国自社サイト

相手国側で自社サイトを構築する事業モデル。既に相手国において自社商品が浸透し、かつ EC サイトの運営を自社で コントロールできる体制を整えていれば取り組みやすい。

(出典:経済産業省「平成 30 年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」)

大別すると、日本から発送するモデル(直送モデル:(1)と(2))と、相手国に在庫を持ち受注後に相手国の倉庫から配送するモデル(在庫モデル:(3)~(6))に分ける事が出来ます。

どの事業モデルを選択するのか、商品供給側(荷主企業)としては検討ポイントになるかと思いますが、その際、重要な懸念事項になるのは在庫リスクです。

直送モデルの場合、日本で在庫を保有するので、在庫リスクが低減出来ますが、在庫モデルの場合、販売実績が芳しくない場合、在庫リスクが増大します。
配送リードタイムは、在庫モデルの方が短く出来るのでメリットがありますが、越境EC事業に取り組む初期段階の荷主企業においては、直送モデルを選択し、ビジネスをスタートするのがベターであると思います。

ポイント2:相手国側における販売製品の認証確認

相手国における販売製品の認証制度については、事前に留意しなければなりません。販売製品認証制度は国ごとに内容や条件が異なるため、各国の制度確認が求められます。

一般貿易を通じた越境EC販売の場合、リアル店舗同様の認証を取得する必要が出てきます。

直送モデルの場合、個人輸入として扱われますので、販売製品認証が不要となる場合が多いのですが、 国によっては、認証が必要なケースがありますので、予め調査しておく事をおすすめします。

今後の越境ECの展望

世界のEC市場および越境EC市場は今後も拡大を続けると予測されております。

特に世界の越境EC市場規模は毎年27%程度の成長で拡大し、2027年には約500兆規模に達するとの予測データもあります。 市場規模の拡大が見込まれる中、製品の品質、機能、デザインが国際的に高く評価されている日本においては、越境ECを通じて諸外国向けに販売の商機があると思われます。

船井総研ロジでの取り組み事例紹介

前述のような背景から、越境ECの取り組みに関する相談を頂く機会が増え、当社では、越境コンシェルジュというサービスを展開し、越境における物流コストの削減と製品販売の認証制度確認を荷主企業に代わって行っております。
物流コスト削減においては、20%程度のコスト削減につながった荷主企業もいらっしゃいますので、越境EC販売を検討している企業の皆様は、お問合せ頂ければと思います。

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Pen Iconこの記事の執筆者

新関 崇浩

船井総研ロジ株式会社 シニアコンサルタント

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