物流コスト削減事例を徹底解説!コスト高騰の時代にできる物流効率化の手法とは
人件費や車両費、燃料費など、物流コストは年々増加の一途を辿っています。荷主物流部の担当者のなかには、自社の物流を委託している物流企業からの止まらない値上げ要請に頭を悩ませている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は物流コストを削減するための具体的な事例をご紹介します。
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物流の効率化で物流コストを削減
そもそも、物流コストは運賃、荷役費、保管費、その他費用の大きく4つに分類できます。そのなかでも全体の6割程度を占めているのが、運賃です。運賃を削減するには、単価低減や配送効率の向上などの施策が考えられます。
ただし、昨今の物流業界においては、単価の低減はもはやコスト削減の手法としては時代にそぐわないものになっています。なぜなら、昨今のドライバー不足や燃料費の高騰などにより、輸配送にかかる必要経費が増加し続けているからです。
そのため、運賃の削減には、物流の効率化が必須の取組み事項となります。
では物流の効率化を図るには、どのような取り組みが考えられるでしょうか。代表的な例として以下のような取り組みが挙げられます。
- ・出荷頻度の見直し
- ・ロットアップ
- ・積載率の向上
- ・荷役時間の短縮(パレット化、台車化など)
- ・共同配送
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物流コスト削減事例(納品指定時間の緩和)
このように、物流効率化には様々な選択肢がありますが、今回は納品リードタイムの変更が物流コスト削減に与える影響について事例を交えてご紹介します。※1
以下のような荷主企業A(小売業)が あるとします。(図1参照)
- ・埼玉県にメインの物流センター(マザーセンター)を設置
- ・埼玉県の物流センターから全国に出荷している
- ・埼玉県の物流センターから東京都、神奈川県、静岡県の倉庫拠点までが1次輸送
- ・東京都、神奈川県、静岡県の倉庫拠点から各店舗までが2次輸送
- ・AM6時までに最終的な納品先である店舗に納品しなければならない
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このとき、店舗への納品時間であるAM6時に間に合わせるために、1次輸送のトラックは図のように2台で配送しているとします。しかし、店舗への納品時間を2時間後ろ倒しにして1次輸送をトラック1台で配送すると、以下のような運び方が可能になります。(図2参照)
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このような運び方に変更することのメリットは、配送距離と配送時間を削減することができる点です。今回のケースであれば、上記のように配送効率を高めることで、1日あたりの配送コストを-13%程度削減することが可能になります。(運賃を平成2年の貸切トラックのタリフで計算した場合)
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このように配送効率を高めることは、荷主企業の物流部が実践できる物流コスト削減につながるだけでなく、CO2の排出量抑制など、ESGロジスティクスの実現にも貢献します。ただし、納品時間の変更には、営業部門など社内他部署からの理解、納品先との交渉や、配送を委託している物流企業との調整など、クリアしなければならない様々な課題があります。
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最後に
コスト高騰が続く現在、物流コストの最適化を図る重要性が増しているのは冒頭で述べた通りです。今回のケーススタディでご紹介したように、改善した場合のシミュレーションを実施して客観的な数値根拠をもっておくことで、関係各所との交渉がしやすくなるのではないでしょうか。
ぜひ今回の記事を参考に、自社の物流コスト適正化ひいてはサステナブルな物流体制構築に活かしていただければ幸いです。
■注釈
※1:本記事における荷主企業Aは架空の企業であり、具体的な企業の物流情報を表現したものではありません
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