ESGロジスティクスで重要な7つの対策とは?~後編~

井上真希

Pen Iconこの記事の執筆者

井上 真希

船井総研ロジ株式会社 ロジスティクスコンサルティング部
チームリーダー チーフコンサルタント

製造業・小売業・ECを中心とした荷主企業に対して、物流倉庫の改善提案・在庫の適正化・管理の提案を行っている。また、物流子会社の評価や在庫管理・分析を得意とし、分析を軸にした物流改善にも従事。近年は、サステナビリティ・ESG領域における専門的な物流コンサルティングにも取り組んでいる。​

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労働人口の減少、燃料価格の高騰、ECシフトの加速など物流を取り巻く環境は厳しさを増す一方です。
今回は、物流企業が持続的に成長するうえで重要な7つの対策〈後編〉をお伝えします。

➡【前回の記事】ESGロジスティクスで重要な7つの対策とは?~前編~

04・05:Co2排出量の可視化、輸送モードの検討

Co2排出量の可視化

物流においてCo2排出量の可視化・開示が第三者機関からの評価を得るための必要条件の一つになります。荷主企業においては保有データが未整備であること、またはデータ自体を保有していないといった理由から、CO2排出量の分析を行うことが困難な事例をよく耳にします。

WMSなどからCO2排出量の算出に必要な実績データを収集し、温暖化対策法や省エネ法等に準拠した算出方法にて自社のCo2排出量をモニタリングし、削減に繋がる仕組み作りを積極的に取り組むことが必要です。

輸送モードの検討

また、環境負荷低減や長距離輸送における規制が強化されたことなどによりモーダルシフトを検討される企業が増えています。トラック輸送と比較して鉄道や内航船へのモーダルシフトは基本的にリードタイムが伸びる為、幹線輸送のようなリードタイムに余裕のある輸送に適しています。鉄道や内航船における輸送モードの特徴(メリットとデメリット)を把握して、自社に適した物流の維持・構築に向けた取り組みが必要です。

06:物量データの管理体制の構築・強化

自社の物量波動、各納品先への配送状況や物流コストを正確に把握していない荷主企業は少なくありません。長期間同じ物流プロセスを継続している場合、物量波動を吸収しきれずキャパシティを超えていることや、無駄な物流コストが多く発生している可能性が高い傾向があります。

物流コストの削減、ひいては今後、ESGにおける重要課題とKPIを設定するためにもデータの管理体制の構築・強化が必要と言えます。

07:人材の育成・確保

物流業界の人手不足が深刻化する中、企業は働きやすい環境を整え、社員の定着や確保に繋げなければなりません。持続可能な企業体制を構築する為には、長期的な観点から人材の育成が求められています。

性別や雇用形態問わず、適切な育成カリキュラムの整備、それらを管理するためのロードマップを作成することや育成効果を測定することが重要となります。人材の育成・確保ができる環境が整っていなければ、採用に至っても定着まで繋げられないので、適切な労働環境の構築が必要と言えます。

まとめ

ここまでESGロジスティクスで重要な7つの視点をご紹介しました。今後、ESGロジスティクスの重要性がクローズアップされることが予測される一方で、自社として何から始めるべきか判断できないなど課題を抱えているのではないでしょうか。

本稿でご紹介した7つの視点がESGロジスティクスへの取り組みにおける必要な項目として参考になれば幸いです。

次回につづく..

➡【前回の記事】ESGロジスティクスで重要な7つの対策とは?~前編~


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参考文献

注1:国土交通省「自動車事故報告規則第二条」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=326M50000800104
注2:帝国データバンク「女性登用に対する企業の意識調査(2022年)」
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p220813.pdf
注3:経済産業省「ダイバーシティ経営の推進」
https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/index.html

井上真希

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