第14回 物流子会社の3PL (3)供給管理で営業拡大
物流子会社が展開する開発営業の二つ目は、親会社のサプライヤー(仕入先)への深耕拡大。親会社の購買力を利用した調達輸送の次はベンダー・マネージド・インベントリー(=VMI、ベンダー在庫管理)提案だ。
VMIの有用性は親会社の取引規模に左右される反面、親会社の基幹システムと直接接続できることが、物流子会社の差別化要素になる。
ICT(情報通信技術)の急速な発展で、サプライチェーン(供給網)間の情報連携は避けては通れない道。荷主は在庫状況や輸送状態・入荷予定データなどの情報を駆使して最適化を図り企業競争力を高めていく。
一方で、サプライチェーン上に存在するそれぞれの企業は、最適化を当然進めたいが、他社への情報開示は、どちらかというと積極的ではない。この微妙な企業間取引の緩衝材となり得る存在が「物流子会社」だ。
物流子会社は親会社と直接接触ができる。両者の関係は垂直的であり、水平的。内部方のアウトソーサーだ。
供給側から見ても、親会社向けのVMIを物流子会社に委託するメリットは大きい。特に系列の物流子会社がVMIを運営することで、輸送品質や納品リードタイムなど、供給責任が相手方に移管する。言い換えれば、サプライヤーは欠品防止の在庫管理のみを行っていれば、物流上のリスクは回避される。
物流子会社は、親会社との人的なつながりと情報連携を上手に活用することで、サプライヤーとのビジネスチャンスが拡大する。
在庫・輸送の共同化は魅力
サプライヤーが出荷する非親会社向けの輸送や、地方の在庫拠点などの共同化を図ることも有効な提案だ。一般的に関東・中部・近畿エリアは、各社で在庫、輸送体制が整備されている。
だが、地方向け配送や荷量の少ない地域での在庫拠点の共同化は、荷主にとって魅力的な提案。輸送コストが上昇している現状で、配送に関わる提案はどの荷主企業も興味を持つテーマだ。
三つ目の開発営業は、ズバリ「共同配送」。在庫拠点の共同化が実行できれば、共配はその延長線上。共配成功の原則は、目的地と配送先が同じこと。同業荷主を集めてプラットフォーム化し、輸送効率向上に努める。
国内の共配プラットフォームは、食品・家電製品・ドラッグストア向けなど成功事例は多岐にわたる。親会社のベースカーゴを武器にした物流子会社の共配ビジネスは、今後ますます伸張が期待される。