第12回 物流子会社の3PL (2)事前調査が発展の鍵

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

 物流子会社が、3PL(サードパーティ・ロジスティクス)事業を収益化しビジネスとして発展するには六つの施策を策定・実行しなくてはならない。
 まず販売する物流サービスのメニュー作成だ。保管・荷役・輸配送。物流の基本三業務が主体なのは間違いない。だが、後発で市場参入するには別のプラスアルファ機能が不可欠。親会社の業務で培ったノウハウは、同型の製品群でこそ強みが発揮される。原料化学品であれば、紙袋やフレコンバックなどの荷姿品であり、平ボディー車を中心とした輸送が得意。
 最近、平ボディー車の確保に苦労している荷主も多いため、安定供給が可能な車両手配の力は差別化要因だ。原料化学品は、化学品メーカー集積地への納品では、どのメーカー・商社も自社の商いによる取扱量が多く、配車には困っていない。一方、どの企業でも飛び地となる納品先は必ずある。配車効率上、好ましくないエリアで、コストもかさむ。
 自社の配送効率が上がらない地区は積載率の低い配車となり、路線便出荷で対応するなど非効率な輸送に甘んじている。こうした課題を解決する施策として、「共同配送」が上げられる。共同配送は納品先・荷姿が合致すれば、極めてローコストな配送スキームだ。

開発営業で障壁を打破

 ここまでは誰しもが考案する外販プランだが、この先が続かない。なぜ続かないかと言うと、どの企業へどのように営業をすればいいのかが思いつかないからだ。
 これが、長年親会社のみを対象としてきた物流子会社の実態。外向きの営業活動(開発営業)を行っていない物流子会社の第一の壁である。壁は打破しなくてはならない。そのために最も求められるのは“マーケティング”だ。マーケティング思考の希薄は、物流業界全般の課題でもある。
 高度経済成長期のように、全産業がものすごい勢いで成長していた頃とは違う。新規ビジネスは、自社の強みと弱みを明確に把握し、市場・顧客・競合をしっかりと分析した上で、サービス展開する必要がある。マーケティングプロセスを疎かにすると、時間と労力を無駄遣いすることになる。いずれもコストとなり、企業収益へ悪影響を与える。
 物流サービスは顧客が主役。顧客の求めるサービスを的確に捉え、スピーディーかつタイムリーに市場へ投入するべきだ。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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