M&Aを活用した地域物流企業の持続的成長!2021年4月度「LPSトラックビジネス研究部会」
船井総研ロジの研究部会は全国から物流会社・運送会社の経営者が集い、情報交換を行う勉強会です。
2021年4月13日に開催した、4月度ロジスティクスプロバイダー経営研究会(LPS)トラックビジネス研究部会は、人数制限を設けた現地開催と、zoomを用いたオンライン開催での「ハイブリット研究会」を行いました。
今回の研究部会では、吉南運輸株式会社様をゲスト講師としてお招きし、M&Aを活用した地域物流企業の持続的成長を遂げている秘訣に関してお話いただきました。
また、会員事例発表にて新柏倉庫株式会社様と株式会社 東運輸様に発表していただきました。
船井総研ロジからは赤峰より『中小運送業向け“運賃値上げノウハウ”』、齊藤より『2021年最新!運送会社のデジタル化の進め方』に関して、計5部構成でお送りいたしました。
目次
講座概要
第一講座 キチナングループの多角化経営~M&Aを活用した地域物流企業の持続的成長~
第二講座 会員事例紹介①新柏倉庫のDX
第三講座 会員事例紹介②労働時間削減だけではないデジタル化によるブランディング戦略
第四講座 船井講座①2021年最新!運送会社のデジタル化の進め方
第五講座 船井講座②中小運送業向け“運賃値上げノウハウ”
第一講座 キチナングループの多角化経営~M&Aを活用した地域物流企業の持続的成長~
売り手企業で見るべき重要なポイントとは
山口県宇部市に本社を構える、キチナングループの代表取締役社長 井本 健氏にご講演いただきました。
キチナングループは、M&Aを事業拡大の手法として活用し、運送にとどまらず、保管、製造請負を軸に複数サービスを展開し、100憶越の企業へと大きく成長している企業です。
キチナングループが今まで行ってきたM&Aの背景から、一般的なM&Aまでの流れ、価格の決まり方などお話しいただきました。
本レポートでは、M&Aを活用した多角化経営に成功している同社が、M&Aを行う際に大切にしているポイントを一部抜粋してお伝えいたします。
M&Aにおいては、100%成功ということは難しく、リスクを許容しM&Aを行なっていく必要があります。売り手企業で見るべき重要なポイントは以下の3点です。
<売り手企業で見るべき重要なポイント>
①経営者の経営に対する基本的な考え方
→経営者の考え方や組織文化は簡単には変わらないため、どんな経営をされてきたのか、どんな組織文化が根付いているのかを確認する。
②M&Aで何を手に入れたいかを明確化する
→M&Aによるシナジーが発揮されるまでに長い時間がかかるため、シナジーが発揮されなくても自社にプラスの効果があるかどうかを見極める。
③変えられるものか、変えられないものかの見極め
→長時間労働による未払い残業代など労務的な簿外債務等含め、運送会社ならではのリスクが潜んでいることを把握し、必要であれば、仲介会社を挟む。
多少のリスクがあるという前提のもと、自社がどこまでリスクを取ることができるのかを線引きしながら、M&Aが行っていく上で重要となります。
第二講座 会員事例紹介①新柏倉庫のDX
デジタル化によるバックオフィス業務の効率化
「DXに向けた新柏倉庫の取り組み」と題しまして、代表取締役 伊藤武人氏にご講演いただきました。
勤怠管理・給与明細・経費精算・契約書など、様々なデジタル化を行っており、現在は、AI-OCRを活用することで、書類転記業務の効率化を図っています。
新柏倉庫様がAI-OCRの導入を進めた理由は以下3点になります。
①RPAなど全体の効率化を進めるためには業務の棚卸が必要
②内勤スタッフが忙しく業務の棚卸の時間をすぐに割けない状況
③事前準備が不要で、すぐに時短に繋がるAI-OCRからスタート
業務担当者がデジタル化の効果を理解しており、前向きに取り組んでくれたため、スムーズな導入にも繋がりました。今後は、RPAとOCRを連携させることで、さらなる業務効率化を進めていくようです。
皆様も、現場を上手く巻き込むことで、デジタル化を推進していきましょう。
第三講座 会員事例紹介②労働時間削減だけではないデジタル化によるブランディング戦略
DX化によるブランディング効果
「労働時間削減だけではないデジタル化によるブランディング戦略」と題しまして、株式会社東運輸 代表取締役 飯田武徳氏にご講演いただきました。
東運輸様では、「働く人たちが『誇り』に思える業界をつくる」という自社のミッションを実現する一つの手段として、デジタル化を推進されています。
同社では、計6つのデジタルツールを同期間に導入し、半年間で年間合計1万時間以上の労働時間削減を達成。
リモート勤務が促進され働き方の多様化により、従業員の満足度が向上するなど定性的にも絶大な効果を得ています。
そのほかにも、自社で物流予測AIを開発し、さらなる生産性の向上を図ることに成功しています。
また、同社ではデジタル化を進めることで、ブランディングにも成功しています。
DX化によるブランディングの効果は以下の通りです。
①新卒・中途採用がしやすくなる
②講演実績やメディア掲載実績を積める
③デジタル関連の人脈が広がり、情報が集まる
今後も同社は、DX化を軸とした事業拡大に取り組み、そして業界の地位向上、ひいては物流業界がより魅力的なものになるように、デジタル化をさらに推進していくとのことで、今後のさらなる取り組みが期待されます。
第四講座 船井講座①2021年最新!運送会社のデジタル化の進め方
事例から学ぶ、中小運送会社のデジタル化
運送会社にとって、デジタル化への取り組みは急務となっています。
本レポートでは、実際の運送会社で行ったデジタル化による業務改善の事例について一部抜粋してお伝えします。
今回の事例は、日次収支の工数削減と経営数値の見える化を目的に行ったものです。
実際に下記6つのステップで取り組みを進めています。
①デジタル化プロジェクトメンバーの選抜
②メンバーを中心に、業務全体の非効率な箇所についてディスカッションを行う
③効率化の妨げになっているバラバラな帳票、二度手間の入力業務など要因を整理
④目指すべき業務フローを作成し、投資対効果を算定
⑤業務フロー実行のため、社内外の体制刷新を進行
⑥BIツールの導入を並行して進め、数値データ化・見える化を実現
そして、このようにデジタル化を進めていく上で重要なポイントが4つあります。
①デジタル化ですべて解決しようしない
②トップダウンで進め、現場に成功体験を
③ダブルスタンダードは極力ゼロに
④「コスト削減」だけを目的にしない
重要ポイントをしっかり抑えた上で、2021年は自社のデジタル化をさらに推進していきましょう。
第五講座 船井講座②中小運送業向け“運賃値上げノウハウ”
運賃値上げのロジックを公開!
中小運送業向け“運賃値上げノウハウ”と題しまして、船井総研ロジ株式会社赤峰より。
中小物流企業にとって、運賃の値上げは極めて重要なプロセスなので慎重に進めていく必要があります。
そのため、「自社の立ち位置」「同業との価格比較」「荷主との関係性」などを総合的に勘定することが重要になります。
本レポートでは、運賃の値上げの代表的な2つの手法を紹介します。
①タリフのランクアップ
交渉自体は比較的容易ですが、市場相場との連動性が高いため、提供側が優位な立場でないと通用しません。
②原価開示
交渉の難易度は高いですが、荷主の理解を得るには最適の手法です。
市場相場の範囲内で価格を納めることと、開示する内容が重要になります。
運賃値上げの取り組みに出遅れると、今回のコロナショックのような事態があり機を逸する場合があります。
そのため、是非とも時流を見極めて積極的に取り組んでいきましょう。
参加した研究会員の声
М&Aについて大変分かりやすく参考になりました。また社内デジタル化を推進していきたいと思います。
(運送会社 R社)
運賃値上げ交渉の対策準備をしなければならないと感じました。
(運送会社 A社)
おすすめ情報
研究部会/トラックビジネス研究部会
- 概要
- 運送業・トラックビジネスに特化した部会です。
運送ビジネスにまつわるテーマを網羅し、地域一番の物流企業を目指します。主なテーマとしては「ドライバー採用・育成・定着」「運行効率アップ」 「労務管理」「車両戦略」など、明日から使える業績アップに直結する内容をご提供します。 - 詳細
- https://www.f-logi.com/butsuryu/society/truck-business/