コールドチェーン物流とは?食品ロス削減・輸送範囲拡大に貢献する物流手法を解説
コールドチェーン物流とは、食品などの商品を一定の温度に保った状態で流通させる物流の種類の1つです。この記事では、コールドチェーン物流の概要や重要性、導入によるメリットなどについて解説します。コールドチェーン物流によって物流会社の輸送範囲が広がるほか、食品ロスの削減などにもつながるため、企業の担当者はぜひ参考にしてください。
コールドチェーン物流とは?
-概要から導入メリットまで解説-
目次
コールドチェーン物流とは
コールドチェーン物流とは、食品物流の手法の1つです。具体的には、食品の生産地から小売まで一定の温度に保ったままで流通を行います。生鮮食品や冷凍食品は低温管理が欠かせませんが、コールドチェーン物流によって幅広いエリアへの流通が可能となりました。
このように、低温管理が途切れることなく保管や流通が続いていることから冷たい連鎖、つまり「コールドチェーン」と呼ばれています。なお、低温物流体系や低温ロジスティクスなどと呼ばれることもあります。
近年では海外で冷凍食品市場の規模が拡大していることもあり、コールドチェーン物流は海外でのニーズも高いといえます。以下の記事では、ASEANにおけるコールドチェーン物流の状況について解説しているため、合わせてご覧ください。
コールドチェーン物流の重要性
コールドチェーン物流がないと、生鮮食品や冷凍食品は小売店に届くまでに鮮度が落ち品質が劣化してしまいます。そのため、コールド物流がない時代は鮮度が落ちる前に輸送ができるエリアにしか商品を届けることができませんでした。
一方で、コールドチェーン物流が登場してからは、輸送中も温度管理ができるため、輸送対象となるエリアが飛躍的に拡大しています。現在、どのスーパーやコンビニに行っても同じ商品を購入できるのはコールドチェーン物流の存在が大きいといえます。そのため、コールドチェーン物流の重要性は非常に大きいといえるでしょう。
なお、コールドチェーン物流は外食や医療においても用いられています。例えば、外食産業では、店舗で使用する食材の調理を事前に別の場所で行い、調理済みの料理をコールドチェーン物流を活用して輸送しています。
また、医療においては、医薬品や輸血パックなどの輸送にコールドチェーンが用いられているなど、私たちの日常生活をさまざまなシーンで支えています。
コールドチェーン物流のメリット
コールドチェーン物流によって企業が得られるメリットはさまざまです。
ここでは、具体的なメリットを2つご紹介します。
食品ロスの削減
コールドチェーン物流を行うことで、食品の品質をより長く維持できるため、食品ロスの削減につながります。
食品を常温管理する場合、低温管理するよりも品質劣化が早まり食品の販売期間自体が短くなってしまいます。期限内に売れなかった食品は廃棄となるため、販売期間が短い方が当然ながら廃棄する量も多くなるでしょう。
この点において、コールドチェーン物流は、低温管理によって食品の品質劣化スピードを遅くでき、販売期間も長く設定できるため、食品ロスを減らすことができます。
広域輸送
コールドチェーン物流によって食品の品質をより長く維持できるため、広域輸送が可能となります。
常温管理の場合、基本的には品質が劣化する前に届けられる近隣エリアへの輸送隣、エリアを拡大するには各地に拠点を作りその拠点の近隣エリアに輸送するといった形をとるしかなく、コストがかかります。
しかし、コールドチェーン物流であれば、低温で品質を維持できるため、全国各地への輸送も可能です。これまでは特定の地域でしか販売できなかった商品を全国で販売できるようになるなど、販路拡大にもつながるでしょう。
コールドチェーン物流の課題
コールドチェーン物流を機能させるには、生産から加工、流通、消費に至る各段階で適切な温度管理が欠かせないため、管理するための体制を整える必要があり、コストがかかります。また、コールドチェーン物流を活用して海外にも商品を輸送する場合は、時間的なコストもかかるため注意してください。
コールドチェーン物流のポイント
ここでは、コールドチェーン物流が行われる際のポイントを過程別に紹介します。
各段階でどのようなことが行われているのか、何が大切なのかぜひ参考にしてください。
生産・加工
生産・加工段階では、食品にあった低温処理を施す必要があります。例えば、青果の場合、予冷という低温処理が行われ、特別な冷蔵庫で保管されます。一方の肉類は、細胞の破壊を防がなければならないため、急速冷凍機を使って短時間で冷凍するケースが一般的です。食品に応じた適切な処理方法を選ぶことでより品質を維持できるようになります。
流通
流通段階は、コールドチェーン物流の中でも特に大切だとされています。遠方への輸送となると輸送時間も長くなるため、温度管理自体が難しくなります。そのため、事前に最適な輸送ルートを検討しておかなければなりません。また、企業によっては中継地点の倉庫を活用するケースもありますが、倉庫によっては食品に適した温度帯での管理に対応していないケースもあるため注意が必要です。
消費
コールドチェーン物流は消費者のもとに商品が届くだけでなく、実際に消費されて初めて完了となります。消費者にとっては購入した商品をすぐに食べないケースもあるため、商品の保管をしやすいようにパッケージに工夫を施す、傷みにくい加工を行うなどの対応が必要です。
まとめ
今回は、コールドチェーン物流の概要や重要性、メリットなどについて解説しました。コールドチェーン物流は食品物流の手法の1つであり、食品などの商品を一定の温度を保った状態で輸送できるようにしてくれます。コールドチェーン物流を活用することで、食品ロスの削減や輸送範囲の拡大など企業にさまざまなメリットをもたらしてくれるでしょう。
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