労働者派遣法改正によるオペレーション市況の混乱 ~2020年物流業界時流(6)~

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

物流DXが前提のセンター設計

コロナ禍の生活が当たり前のように感じ始めています。
我々の働き方もワンランク進化したのはではないでしょうか。
リモートワークの環境において、効率化されたこととそうでない事が見えてきました。

今後は不効率な業務プロセスの改善と、デジタルオフィスの有効活用が企業発展のキーワードとなります。

物流センターにおいても、それぞれの拠点・センターへ事務スタッフを配置する従来方式は無くなるでしょう。
物流DX(デジタルトランスフォーメーション)は、複数拠点の事務作業をデジタルツイン化によってマザーセンターで行います。
各拠点の事務オペレーションは遠隔コントロールで実行する日がもうそこまで来ています。
そうなると、受付事務も帳票発行も配車業務もマザーセンターの管理下でデジタル化され、事務スタッフは不要となります。

コールセンターが地方に多く存在するように、物流センターのバックオフィスもまた従業員が働きやすい環境の地方オフィス化が進むと思います。
かなり近い将来、物流センター長はAIロボットが担い、現場系のごく一部の業務や各種ロボット・自動機器のメンテナンス要員ぐらいが、人が携わる物流センターの仕事となります。

労働者派遣法改正による物流センターへの影響

今号も引き続き、2020年物流時流予測の7つ目、
「労働者派遣法改正によるオペレーション市況の混乱」についてお伝えします。

今回のポイントは、「同一労働同一賃金」を実現させることになります。

よく見られる事例として、

(1)荷主企業の受注業務は社員と派遣が入り混じっている
(2)荷主企業の出荷事務に社員と派遣が入り混じっている
(3)荷主が自社で運営する物流センターの現場に社員と派遣が入り混じっている

これらは、今回の改正によって派遣料金がかなり上がることとなります。
既に、派遣会社さんから値上げの要求があり、受け入れている企業も少なくはないでしょう。
更に、派遣スタッフへも社員と同じ教育訓練の実施や福利厚生施設の利用など多くの権利や義務が明確化されています。
これらは、違反をすると罰則規定も設けられています。
派遣先企業の負担は増大し、これまで通り気軽に派遣社員へ業務を移管するとはいかなくなりました。

この法律が改正されて直ぐにコロナ騒動が発生しましたので、行政機関としても今はまだ本格的な調査や違反の指摘は行われていないようですが、今後、確実に違反企業の摘発が予想されます。

物流DXの波は、もうすぐそこまで来ている

デジタル化時代は、誰が働くかではなく、どの業務プロセスをデジタル化して直ぐにデジタル化出来ない箇所を人が行う業務オペレーションです。
デジタル化を進めるには、まず現行業務プロセスを可視化し、標準化しなくては先へ進みません。

AIロボットセンター長は夢物語ではなく、急速に時代が求めている機能なのです。
船井総研ロジでは、「物流DX(デジタルトランスフォーメーション)」の推進支援を新しいサービスで立ち上げることにしました。
詳細は後日リリース致しますが、当然従来方式のコンサルティングではなく、デジタル化されたコンサルティングサービスとなります。

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