在庫分散によるROA悪化リスク~2020年物流業界時流(4)~

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

コロナウィルスの影響は、あらゆる分野に及んでいます。当分は正常な状態に戻ることは難しいでしょう。

荷主企業の物流部は、ポストコロナの前にウィズコロナの物流体制構築に向け、なるべく早く行動しなければなりません。

以下、5つがウィズコロナ時代の物流施策です。

1.配送時間指定の緩和
2.午後配達の推進と調整
3.午後受入体制の構築
4.自動化の取り組み
5.物流センターの在庫削減

これら5つの物流施策については、2020年5月開催のFunai物流オープンカレッジの時流講座で詳しくお伝えします。

セミナーの詳細はコチラ ≫ https://www.f-logi.com/ninushi/seminar/202005funaibutsuryuopencollege/

在庫分散によるROA悪化リスク

ここからは2020年物流時流予測5.在庫分散によるROA悪化リスクについて解説します。

上記の2020年時流予測は昨年12月の予測でしたが、まさかこのようなコロナウィルスの蔓延による施策としての在庫分散になるとは予想だにしていませんでした。

本年度もドライバー不足の解消は目処が立っていません。ドライバー職の中でも中長距離輸送が最も集まりづらい職種です。

今の若者は自宅に帰れない仕事を特に嫌います。

給与水準も、不規則な生活を我慢するほどの支給額とはなっていない現状が、この職種のドライバー不足を招いています。

拠点集約によってマザー拠点在庫は巨大化し、顧客配送の輸送距離は長距離化しています。余裕の無いリードタイムと午前中指定の乱用によって輸送効率も低下し、今の苦境が続いています。

この時代の施策として「在庫分散」は致し方ない戦略であり、配送における中距離輸送は削減する方策が望ましいと思われます。

そこで、懸念されることは「在庫過多」によるROA(総資産利益率)の悪化リスクです。

在庫量のモニタリングの重要性

在庫拠点数が増えると、それぞれの拠点において”安全在庫”が肥大化し、会社全体の総在庫が増大します。

これまでお付き合いしてきたクライアント企業で、在庫管理が問題なく運営できている事例は稀であり、殆どの企業が属人的な管理体制で在庫運用をしています。

コロナウィルスの影響も重なり、地方在庫やデポ在庫を増やさなければならない状況下では、軽視できない問題です。

日本企業の欠品恐怖症は、欧米企業と比べると尋常ではない意識があります。

発注担当者は、必然的に欠品とならないため、自己防衛本能が過敏に働き、”安全在庫”をせっせと積み増していくものです。

在庫問題は永遠の課題ではありますが、放置しておくと極めて企業経営に悪影響を及ぼすリスクを孕んでいます。

誰かが、在庫量を正しく日々モニタリングすることが今最も重要な管理項目のひとつです。

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