法91条による減給の制裁

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三村 信明

船井総研ロジ株式会社 物流ビジネスコンサルティング部 
チームリーダー チーフコンサルタント

1978年生まれ。専門商社、大手経営コンサルティング会社を経て、2011年、船井総合研究所に入社。入社後は、生産財分野(製造業、建築資材メーカー、生産財商社など)、物流会社・運送会社を中心にコンサルティングを手がける。2018年7月より、船井総研ロジ株式会社に異動( 2019年1月転籍)。運送会社・物流会社に特化して、人事制度の構築・運用支援、組織戦略立案を行っている。

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前回のメルマガ(トラック等を破損した場合、保険の免責部分を労働者から給与の天引きで徴収していないか)では、給与から天引き可能なものとして、法91条による減給の制裁などを例として挙げさせていただきました。

・労働基準法第91条(制裁規定の制限)
就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。

例えば、遅刻を1回したら5分の遅刻でも5,000円引くといった定めをしている会社があります。この定めは懲戒処分のうち「減給」にあたりますが、懲戒処分として制裁をする場合には就業規則に記載しなければなりません。
経営者の気分や裁量で一方的に給与をカットすることはできず、減給する場合は、その事由(無断欠勤・遅刻など)を就業規則に明記する必要があります。

ただし、遅刻・無断欠勤した場合に、その時間に相当する賃金を支払わないことは91条に定める減給の制裁ではありません。
労働基準法は、基本的にノーワークノーペイの原則があります。労働者の労務提供がなければ会社は賃金を支払わなくてよいという原則で、有給休暇を除いて、働いていない時間の賃金を保証する義務はありません。
実際の欠勤時間分の給与を超える減額をした場合には、その超えた金額は91条に定める減給となり、月給30万円、平均賃金1万円の従業員の場合、1回の処分で5千円、1か月の合計で3万円を上限として減額が可能です。

とはいえ、労働者がトラック等を破損した場合、発生するのは、あくまでも労働者への損害賠償請求になるので、懲戒処分とは分けて考える必要があります。

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