第138回 荷主企業のリスク対策プログラム(3)
荷主企業の物流アウトソーシングにおける管理リスクには、以下の6項目が想定されます。
<1> 品質低下によるもの
<2> コストアップによるもの
<3> 流通形態の変化によるもの
<4> 商品形状の変化によるもの
<5> 物量の増減変化によるもの
<6> 委託先の突発的な取引停止によるもの
現況のデフレ傾向において、財・サービスの価格が上昇することは想像されにくい環境下ではありますが、リスクの顕在化を未然に防止する観点からは、リスク因子を早期に発見しその対処法を構築することが肝要です。
<2>コストアップが想定される物流サービスの項目は、契約内容や料金に
関する覚書で明文化されています。
では契約書にて締結されているサービス対価は、契約期間中において不変であるのかと言うと、「No」と言わざるを得ないものです。
皆様も一度は目にした事があるかと思いますが、「御見積書」等の料金に関する書式には、以下の文章が記入されていることが少なくはありません。
「著しく経済状況の変化があった場合は、料金の改定・見直し等を…」
このような文面は、客観的な判断は困難でありどちらか一方(サービスの提供者)の基準で改定プロセスへと進行します。
物流サービスを委託している荷主からすると、請負サイド(物流企業)の経済情勢変化(この場合は当然悪くなる)によって、料金改定すなわち値上げへの要請を受けることとなります。
それ以外にも、他のリスクと相関している場合が多く外発的な要因と内発的な要因の両方でコストアップ因子を管理しなくてはなりません。
「荷主だから=(仕事を提供している立場)は強いものであり、例え値上げの要請があっても断ればよい」…とお考えの方は、今はもうマイノリティー(少数派)な思考です。
物流オペレーションを安定させ、継続した取組みや品質の向上を目指すのであれば、委託サイドの事情や経済情勢にも一定の理解を示す必要があります。
「リスク対策プログラム」には、リスクが顕在化する前にその発生因子を想定し項目として管理しなくてはなりません。
「コストアップ」リスクについては、①定性的な因子 ②定量的な因子それぞれを分類し、コントロールプロセスを構築し管理することとなります。
次号に続く。